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顎関節症[私の治療]

No.4992 (2019年12月28日発行) P.56

吉田秀児 (東京歯科大学口腔顎顔面外科学講座)

登録日: 2019-12-29

最終更新日: 2019-12-23

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  • 顎関節症とは,顎関節部の関節(雑)音,顎関節や咀嚼筋の疼痛,それに伴う開口障害ないしは顎運動異常を主要症候とする障害の包括的診断名である。その病態は,咀嚼筋障害,顎関節痛障害,顎関節円板障害および変形性顎関節症である。発症メカニズムは不明なことが多いとされ,日常生活を含めた環境因子・行動因子・宿主因子・時間的因子などの多因子が積み重なり,個体の耐性を超えた場合に発症するというのが一般的である。

    ▶診断のポイント

    【症状】
    〈咀嚼筋痛障害(Ⅰ型)〉

    咀嚼筋痛とそれによる機能障害を主徴候とするのがⅠ型となる。主症状としては筋痛,運動痛,運動障害である。咀嚼筋障害の主な病態は局所筋痛と筋・筋膜痛である。特に筋・筋膜痛が重要であり,局所筋痛は筋・筋膜痛の特徴を欠く筋痛として留意すべきである。

    〈顎関節痛障害(Ⅱ型)〉

    顎関節痛とそれによる機能障害を主徴候とするのがⅡ型となる。顎関節円板障害,ブラキシズム,咬合異常などが原因となる。主な病変部位は,滑膜,円板後部組織,関節靱帯,関節包であり,それらの炎症や損傷によって生じる。

    〈顎関節円板障害(Ⅲ型)〉

    顎関節内部に限局した,関節円板の位置異常ならびに形態異常に継発する関節構成体の機能的ないし器質的障害がⅢ型となる。主病変部位は関節円板と滑膜で,関節円板の転位,変性,穿孔,線維化により生じる。開口時に関節円板が復位するものをⅢa型(復位性関節円板前方転位),復位しないものをⅢb型(非復位性関節円板前方転位)とする。Ⅲa型は,円板を乗り越えるときにクリック音(顎関節部のコクッとする音)を自覚し,Ⅲb型は,円板を乗り越えられないため開口障害を生じるクローズドロックを自覚する。

    〈変形性顎関節症(Ⅳ型)〉

    退行性病変を主徴候とした病態で,主な病変部位は関節軟骨,関節円板,滑膜,下顎頭,下顎窩である。それらの病理変化は軟骨破壊,肉芽形成,骨吸収,骨添加である。臨床症状として関節雑音(特にクレピタス:シャリシャリとした音),顎運動障害,顎関節部の痛み(運動痛,圧痛)のうち,いずれか1つ以上の症状を認める。

    【検査所見】

    顎関節症はまず問診にて,関節痛,開口障害,関節雑音の確認を行う。また,触診にて顎関節部の雑音や咀嚼筋の圧痛を確認して,ある程度の症型分類に応じた検査をオーダーする。Ⅲ型の場合,顎関節造影,MRI,顎関節内視鏡検査により診断が可能で,Ⅳ型の場合,パノラマX線画像や顎関節パノラマX線画像で診断が可能である。臨床上,各型の合併例や心理的要因も関係していることが多く,画像検査だけでは最終的な診断は困難であり,臨床症状と統合した診断が必要となる。

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