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侵襲性歯周炎[私の治療]

No.4987 (2019年11月23日発行) P.58

恩田健志 (東京歯科大学口腔顎顔面外科学講座講師)

登録日: 2019-11-26

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  • 全身的には健康であるが,歯周組織の破壊が急速に進行する歯周炎である。
    以前は若年性歯周炎と急速進行性歯周炎と呼ばれていたが,年齢に関係なく存在することから,1999年に米国歯周病学会が両者を併せてaggressive periodontitisと命名し分類した。「侵襲性歯周炎」はこれを日本語訳した病名である。
    1999年の分類では,歯周炎は,慢性歯周炎,侵襲性歯周炎,壊死性潰瘍性歯周炎,全身疾患関連歯周炎,歯周膿瘍,の5つに大別されていた。2017年に米国歯周病学会と欧州歯周病学会が発表した歯周疾患の新分類では,慢性歯周炎と侵襲性歯周炎が1つの歯周炎として分類されることになり,分類は4つになった。まとめられた新分類の歯周炎は,グレードとステージによって疾患の状態を表現する方法に変更された。新分類では,再度年齢を考慮する必要があると考えられ,グレードの決定因子のひとつに「%骨吸収/年齢」が追加された。
    1999年以降20年にわたり慢性歯周炎と侵襲性歯周炎の相違について様々な研究が行われてきたが,慢性歯周炎と侵襲性歯周炎を明確に判定可能なバイオマーカーはいまだなく,2019年の本稿執筆時点では,慢性歯周炎と侵襲性歯周炎を明確に判別することができていない。そのため,両方を同時に診断可能な今回の分類が考案されたと考えられる。
    限局型と広汎型がある。慢性歯周炎に比較して,宿主因子および遺伝的素因が病態に占める割合が高い。

    ▶診断のポイント

    【症状】

    歯周ポケットの形成,アタッチメントロス,歯槽骨の吸収等の歯周組織破壊が急速に進行する。それに伴い歯の動揺が認められる。

    全身的には健康であり,歯周病のリスクファクターとなる全身疾患はない。

    家族に類似した重度の歯周病がみられる(家族内発症)。

    10~30歳代で発症することが多い。病状進行に対してプラークの付着量が少ない。

    生体防御機能,免疫応答に異常が認められることがある(好中球,マクロファージ等)。

    【検査所見】

    細菌学的所見として,歯周病原細菌,特にAggregatibactor actinomycetemcomitans,Porphyromonas gingivalisが検出されることが多いが,確定診断とはならず,慢性歯周炎との鑑別は必ずしも明確ではない。

    〈限局型〉

    思春期前後に発症する。感染因子に対する著明な血清抗体反応がある。第一大臼歯と切歯に限局した隣接面アタッチメントロスが2本の永久歯に,そのうちの1歯は第一大臼歯で,病変範囲は2歯までである。

    〈広汎型〉

    通常30歳以下,または30歳以上もある。感染因子に対する血清抗体反応は弱い。アタッチメントロスと歯槽骨の破壊吸収がある。第一大臼歯と切歯以外の部位で,3歯以上のアタッチメントロスがある。

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