急性リンパ性白血病(acute lymphoblastic leukemia:ALL)の再発時の治療選択肢として,新規の抗腫瘍薬結合モノクローナル抗体や二重特異性抗体などが使用できるようになりましたが,どのような症例に,どのタイミングで使用すればよいでしょうか。九州大学・加藤光次先生にご回答をお願いします。
【質問者】
竹中克斗 愛媛大学大学院医学系研究科 血液・免疫・感染症内科学教授
【ブリナツモマブ,イノツズマブ オゾガマイシンの臨床導入が始まっている】
ALLが再発・難治性(relapse or refractory:R/R)の場合,化学療法のみでの治癒は困難で,同種造血幹細胞移植(以下,同種移植)を行うことにより長期生存が期待されます。一方,化学療法による完全寛解率は50%を下回り,同種移植の恩恵に授かれるR/R ALL患者は限られていました。そのような中,CD19やCD22などの表面抗原を標的とする抗体療法やキメラ抗原受容体T細胞(chimeric antigen receptor T-cell:CAR- T)療法の開発が進み,有意な生存期間の延長が報告され,既に臨床導入が始まっています。特に,CD19およびCD3を認識する二重特異性抗体ブリナツモマブや抗CD22抗体に抗癌剤が結合した抗体薬物複合体イノツズマブ オゾガマイシン(IO)を上手に使うことで,予後不良R/R ALL患者の予後を改善しうることが期待されています。
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