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赤色平滑舌[私の治療]

No.4972 (2019年08月10日発行) P.50

加藤 宏 (東京歯科大学口腔顎顔面外科学講座)

登録日: 2019-08-08

最終更新日: 2019-08-06

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  • 舌乳頭の萎縮により舌の表面全体が発赤し,平滑になった状態を言う。灼熱様疼痛やしみるといった症状が出現し,時に味覚障害や嚥下障害が生じる。赤色平滑舌を呈する代表的疾患は貧血性疾患であり,特に鉄欠乏性貧血,悪性貧血によるものが多い。

    ▶診断のポイント

    肉眼的には萎縮性病変であり,舌背部全体にわたり表面の乳頭が消失し平滑を呈する。

    鉄欠乏性貧血は中年以降の女性に多くみられ,易疲労感,動悸などの貧血症状,匙状爪(spoon nail)を呈する。血液検査において,赤血球数・ヘモグロビン(Hb)・平均赤血球容積(M CV)・平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)・血清鉄(Fe)の低下が認められる。鉄欠乏性貧血が進行すると,舌炎,口角炎,食道粘膜の萎縮性変化に伴う嚥下障害がみられ,これらの症状を併せてPlummer-Vinson症候群と呼ぶ。

    悪性貧血(巨赤芽球性貧血)はビタミンB12の吸収不全に起因する疾患で,胃切除,萎縮性胃炎によって生じる。血液検査において,赤血球数・Hb・ヘマトクリット(Ht)・血清ビタミンB12の低下がみられる。MCVは高値を示し,MCHCは正常値である。本疾患による糸状乳頭の萎縮を伴った舌炎をHunter舌炎と呼ぶ。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    原因疾患については専門科に相談して治療を行い,対症療法にて口腔内症状の緩和を図る。全身的原因疾患がない場合(加齢,更年期障害など)には対症療法を優先させる。

    【鉄欠乏性貧血による場合】

    鉄剤の補充療法が主体となるが,消化管出血や悪性腫瘍などによる鉄分喪失が疑われる場合は原因治療を行う必要がある。治療は鉄欠乏性貧血に準ずる(「鉄欠乏性貧血」の稿を参照)。

    【悪性貧血による場合】

    ビタミンB12の補充療法を行う。大量の経口投与でも有効とされているが,不確実であるため筋注などの非経口投与が望ましい。治療は悪性貧血に準ずる。

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