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地域中規模病院と血液内科

No.4946 (2019年02月09日発行) P.48

和氣 敦 (虎の門病院分院内科総合診療科(血液内科) 部長)

登録日: 2019-02-06

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【既にわが国の造血幹細胞移植の多くを担っている】

現在,わが国の医療は均てん化と集約化をめざしており,中規模病院の立ち位置は難しい。血液内科が扱う疾患には,白血病,悪性リンパ腫,多発性骨髄腫などの悪性疾患があり,それらは他領域と同様に高齢者の発症頻度が高い。新薬の登場により明らかに治療目標が進歩した疾患がある一方,社会復帰困難な疾患では在宅医療や介護施設との連携が必要度を増しており,地域においても完全な社会復帰をめざす医療が求められている。治癒をめざす造血幹細胞移植などの集学的治療は中・長期の入院治療を要することも多く,ますます進む高齢化や地域格差の中で大病院とかかりつけ医だけでは対応困難である。

地域中規模病院は総合病院としては不十分だが,医療スタッフの顔が見えやすく小回りが利き,迅速な診療が可能である。近年,かかりつけ医からの初診だけでなく,高齢者でも治癒をめざす造血幹細胞移植の血液専門医からの相談が多くなってきた。ドナー確保が迅速でスタッフ数も要さない臍帯血や血縁者間移植等は必ずしも大病院で行う必要がなく,地域中規模病院で完結可能である。

成人領域の造血幹細胞移植施設は日本造血細胞移植学会資料(平成29年度報告)では311施設(5488件)だが,年間50例以上の移植を行う大病院は22施設(1606件)で,むしろ地域中規模病院がわが国の造血幹細胞移植の多く(70.8%)を担っている。超高齢社会という点ではわが国は世界一の先進国であり,他国に倣うだけでなく,地域中規模病院を絡めたわが国独自の医療システムを柔軟に進めていかなければ,地域の移植医療は衰退の危機にある。

【解説】

和氣 敦 虎の門病院分院内科総合診療科(血液内科) 部長

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