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膠原病・自己免疫疾患 [今日の新しい臨床検査─選び方・使い方(8)]

No.4776 (2015年11月07日発行) P.43

監修: 前川真人 (浜松医科大学医学部臨床検査医学教授)

小柴賢洋 (兵庫医科大学臨床検査医学講座主任教授)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-02-09

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  • 1. 膠原病・自己免疫疾患とは

    膠原病は結合組織を病変の主座とする,全身性自己免疫疾患である。中でも関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)は最も高頻度にみられ,近年その診断,治療が大きく変化していることから,本稿ではRAについて述べる。
    RAの関節破壊は病初期に進行しやすいため,早期の治療機会(window of opportunity)を逃さず,メトトレキサート(MTX)や生物学的製剤を用いた積極的な治療を行い「寛解・進行防止」を実現することが治療目標とされる。米国リウマチ学会(ACR)や欧州リウマチ学会(EULAR)の新分類基準(2010年:新基準)1),新寛解基準(2011年)2),改訂推奨治療(2012年)3)が相次いで発表されたが,推奨治療は2015年に再改訂の予定である。

    2. 関節リウマチ(RA)の診断に必要な検査

    1987年のACR分類基準(旧基準)4)は感度91~94%,特異度89%と良好な分類能を認めるが,発症後1年以内のRAについては感度が50~60%程度のため,早期診断への応用は難しい。そこで新基準では,将来の関節破壊を抑制するために早期から治療介入すべき患者を分別することが主目的とされた。
    新基準による分類手順を図1に示す1)。まず,1つ以上の関節の滑膜炎があるか,その滑膜炎がRA以外の疾患で説明できるかどうかが問われる。発症早期にはX線検査で異常がないことも多く,罹患関節のMRI検査(ガドリニウム造影や脂肪抑制),関節エコー検査が滑膜炎の画像診断として有用である。

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