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【OPINION】巡回健診規制緩和にみる7つの不思議

No.4735 (2015年01月24日発行) P.13

吉岡泰彦 (大阪府吹田市・吉岡医院)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-03-15

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  • はじめに

    巡回健診に医師が不要となりそうです。
    日本の医療は、①医療を行う場所について届け出をし、その場に常勤専従する管理者(診療所では医師)を置く1)、②医療従事者の医療行為は医師の個別の指示下に行う2)─という原則の下に行われています。法令もその原則に沿って作られています。
    さらに巡回健診については、③診療放射線技師が巡回先でX線撮影をする場合は「医師の立会い」を必要とするという条文3)も診療放射線技師法にあります。巡回健診先は診療所の扱いですので4)、管理をする医師がおり、その医師が立会い医師に相当します。
    ところが一昨年、医師不在の違法な胸部X線巡回健診が山口県下関市で発覚し、「医師不在が違法ならば巡回健診は危機に瀕する」と報道されました5)。報道によると、下関市は医師が確保できないため、市が行う肺がん検診の中止を決めました。下関市の問題をきっかけに日本診療放射線技師会がアンケート調査を実施したところ、回答した医療機関の半数以上が医師不在の違法な巡回健診を行っていたことが判明しました6)
    その後、日本診療放射線技師会、日本対がん協会、結核予防会、予防医学事業中央会の4団体が巡回先で医師の立会いを不要とする診療放射線技師法の改正などを求める申し入れを厚生労働省へ行いました6)。申し入れの要望事項には、法改正までの間の違法巡回健診への特段の配慮や、不適正・不適格事業者の参入防止規定の整備も含まれていました。この問題について厚労相は「医師がいないというのは、法律違反でございますから、適切に対応していただかなくてはならない」「普通やっている他のところではちゃんと医師が半数がおられるわけでありますから」などと閣議後の会見で述べました7)
    そして2013年末、第36回社会保障審議会医療部会において、診療放射線技師の業務拡大の一つとして、胸部X線撮影に限り医師の立会いを不要とする方針が決定され8)、2014年6月の診療放射線技師法改正(通称・「医療・介護総合確保推進法」の一部)を経て9)、前述の原則③の規制が緩和されました。
    医師不足の対応策として医師不在の巡回健診が安全に実現されることにはなんら異論はありません。私もそのために規制緩和の要望を長年政府に提出してきました10)11)。しかし今回の経緯を分析すると、不思議な問題点が7つも浮かんできました。

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