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胸腹部大動脈瘤の術前評価,再建方法,術中のモニタリングによる評価

No.4934 (2018年11月17日発行) P.59

金 一 (岩手医科大学心臓血管外科教授)

齋木佳克 (東北大学心臓血管外科学分野教授)

登録日: 2018-11-18

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  • 胸腹部大動脈瘤に対する治療成績は向上しているものの,まだまだハイリスクな症例と考えます。中でも,脊髄虚血に伴う下半身麻痺は患者のQOLの観点から重篤な合併症となり,こうした合併症回避から肋間再建に関する術前の(Adamkiewicz動脈など)評価,再建方法,術中のモニタリングによる評価など様々な工夫,改善がなされていると思いますが,こうした分野で実績のある東北大学・齋木佳克先生にご解説をお願いします。

    【質問者】

    金 一 岩手医科大学心臓血管外科教授


    【回答】

    【胸腹部大動脈瘤に対する人工血管置換術の脊髄保護法は確立していないが,種々の方法を組み合わせた集学的予防法を用いている】

    胸腹部大動脈瘤に対する人工血管置換術は,数ある外科手術術式の中で最も生体への侵襲が大きい術式です。さらに,周術期合併症として重篤な脊髄障害のリスクを伴っており,その発生頻度は3~11%と報告されています。文献上に報告されていない症例も含めると,その頻度は潜在的にはさらに高い可能性もあります。

    脊髄障害を回避するために,種々の予防法や検査法が実施されていますが,脊髄の複雑な血行支配や虚血感受性の高さ,そして,脊髄機能術中評価の困難さのために,完成された脊髄保護方法はいまだ確立されてはいません。現代でも単一の方法ではなく,種々の方法を組み合わせた集学的な予防法が用いられています。これまでのところ有用とされ臨床の場で実施されている脊髄保護法としては,①Adamkiewicz動脈の術前同定,②脳脊髄液ドレナージ,③電気生理学的神経活動モニタリング(motor evoked potential:MEP測定),④補助循環を活用した末梢側灌流(distal perfusion),⑤低体温法,⑥大動脈の分節遮断,⑦肋間動脈開口部からの血液steal現象の抑制,⑧選択的肋間動脈灌流と肋間動脈再建,⑨硬膜外冷却,⑩薬物投与を挙げることができます。

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