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ハイブリッド再建を含む乳房再建方法の適切な選択と今後について

No.5185 (2023年09月09日発行) P.55

菊池 守 (下北沢病院 病院長)

冨田興一 (近畿大学医学部形成外科教授)

登録日: 2023-09-12

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  • 従来,乳癌切除後の乳房再建には皮弁移植(自家組織)やインプラント(人工物)が用いられてきましたが,現在では自家脂肪注入や脂肪幹細胞移植,さらには皮弁やインプラントと脂肪注入を組み合わせたハイブリッド再建も行われています。様々な選択肢がある乳房再建方法の現状での適切な選択法と自家脂肪注入の保険収載も見据えた乳房再建の今後について,乳房再建の専門家である近畿大学・冨田興一先生にご解説をお願いします。

    【質問者】菊池 守 下北沢病院 病院長


    【回答】

    【各種再建法において自家脂肪注入をいかに有効利用するかが重要】

    2013年にインプラントによる乳房再建が保険収載されて以来,わが国における乳房再建の認知度は以前より高まり,再建率も徐々に向上してきました。従来の再建法は大きくインプラントと自家組織に分かれますが,それぞれに問題点があります。たとえば前者では,インプラントがオーダーメイドでないために乳房の左右対称性を得ることがしばしば困難です。また後者では,皮弁採取部の犠牲(傷)が大きい,患者さんの体格によっては必要な組織量が得られないなどの問題があります。

    これらの問題解決のカギを握るのが自家脂肪注入です。本法はわずか数ミリの切開から脂肪を吸引し,注入して移植するというきわめて低侵襲な技術で,海外では多くの国々で乳房再建に取り入れられており,わが国でも美容医療などで急速に普及しています。令和4年度の診療報酬改定では遂に保険収載されましたが,残念ながら乳房再建への適応はいまだ認められておらず,今後の課題となっています。したがって,現状では脂肪注入単独による乳房再建を保険診療で行うことはできませんが,従来の再建法を補う形での使用は徐々に増加しています。脂肪注入を用いた具体的な乳房再建法の例は以下の通りです。

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