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(2)炎症性筋疾患の筋病理からの診断[特集:多発性筋炎・皮膚筋炎─診断・治療の現状]

No.4908 (2018年05月19日発行) P.35

漆葉章典 (フランス筋学研究所/ピティエ・サルペトリエール病院)

西野一三 (国立精神・神経医療研究センター神経研究所疾病研究第一部部長)

登録日: 2018-05-21

最終更新日: 2018-05-16

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炎症性筋疾患は筋病理学的には皮膚筋炎(DM),多発性筋炎(PM),抗合成酵素症候群(ASS),免疫介在性壊死性ミオパチー(IMNM),封入体筋炎(IBM)に大別される

DMの診断では,線維束周囲性萎縮やミクソウイルス抵抗蛋白質A(MxA)の筋線維上での発現が重要である

PMでは,MHCクラスⅠの発現が上昇した非壊死線維をCD8陽性T細胞が取り囲み侵入する像(CD8/MHC-Ⅰ complex)が筋病理診断のための必要条件である

ASSでは線維束周囲性壊死やMHCクラスⅡの筋束辺縁部優位の高発現が特徴的である

IMNMでは,壊死・再生線維やC5b-9の筋線維膜上での沈着が観察される。筋ジストロフィーと類似するため,鑑別に十分な注意を要する

IBMでは,CD8/MHC-Ⅰ complexと縁取り空胞が中核所見であるが,さらにp62などの細胞質凝集体も観察される

1. 炎症性筋疾患の診断

炎症性筋疾患の診断は臨床評価,自己抗体測定などの血清学検査,筋病理検査を組み合わせて総合的に行われる。近年,筋炎特異自己抗体が発見され,臨床所見と自己抗体の陽性所見により炎症性筋疾患の診断が可能となってきている。一方,自己抗体測定は信頼度が測定系によって異なる場合があり,また炎症性筋疾患患者の相当数が既知の自己抗体に対して陰性であるとされる。筋病理検査は臨床・血清学的所見に基づいて行われた診断の検証や,筋炎特異自己抗体陰性例の診断,あるいは筋生検前に炎症性筋疾患が想定されていなかった場合にその可能性を指摘することができるなどの点において重要である。

本稿では各種炎症性筋疾患の筋病理所見(表1)について,特に診断的価値の高いものを中心に概説する。

          

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