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鹿児島県の離島・僻地医療を愚考する[炉辺閑話]

No.4889 (2018年01月06日発行) P.97

夏越祥次 (鹿児島大学病院病院長)

登録日: 2018-01-06

最終更新日: 2017-12-22

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鹿児島県は面積が9132km2で、全国で第9位、離島の数は28島で第4位です。離島面積は2488km2で全国第1位、離島人口も18万2600人で第1位です。そのうち無医島の数は14島で、2356人が住んでいます。また、海を含めた距離は、東西272km、南北613kmであり、その広さは東北地方全域に等しい大きさです。鹿児島空港から奄美大島までは飛行機で約1時間を要し、大阪伊丹空港までの約1時間10分に相当します。また、鹿児島県は鹿児島湾(錦江湾)により薩摩半島と大隅半島にわかれており、大隅地区に行くためにはフェリーか陸路で行きますが、中心部の鹿屋市には約2時間かかります。東部、北部に行くにはさらに時間を要します。これらの数字からしても、広範囲の住民の医療を守るためには、各二次医療圏にある程度の規模の医療施設が必要になります。

都会と地方で医師の偏在が起こっていますが、鹿児島県の中でも同様な現象が起こっています。10万人当たりの医師数をみると、鹿児島市では全国平均を100人以上上回っていますが、その他の地域はすべて平均以下です。特に離島や大隅半島北部では全国平均の半分以下です。鹿児島県に残る若手医師が減少することは、地方医療の終末を意味します。道路やドクターヘリの整備により救急患者の搬送には改善がみられていますが、すべての急患をこれらの手段で搬送することには限界があります。二次医療圏ごとに中核医療機関を設立し、医師確保と各科の充実を図り、一次、二次救急および慢性期への対処が望まれます。

新臨床研修医制度による地域偏在、専門細分化による総合医不足など、医師数は充足しているにもかかわらず、医師不足という奇妙な現象が起きています。一県一大学の地方では、従来の医局制度の良い部分のみを再導入し、新人教育、僻地・離島医療への派遣を行うのも一手と考えます。その際には、高度急性期患者や難治性疾患に関しては、大学や拠点病院が派遣医師を守ることが重要です。今後、活気ある僻地・離島医療を何とか立て直したいものです。

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