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【他科への手紙】整形外科→神経内科

No.4872 (2017年09月09日発行) P.49

井澤一隆 (国立病院機構刀根山病院整形外科医長)

登録日: 2017-09-06

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  • 小生がパーキンソン病の患者を腰痛で診ていたとき、神経内科での治療が奏効して前傾姿勢だった歩容がすっかり正常になり、驚かされたことがあります。そういった可逆的な姿勢の異常は神経内科疾患以外でもみられ、例えば足腰の痛みが強いときにそれを回避する姿勢に背骨が曲がる「疼痛性側弯」もその一例です。

    そうした場合、原因疾患が治療されると脊椎は正常な配列(アライメント)に戻りますが、原因が解決しないとアライメント異常が長期化し、その結果可塑性を失っていきます。無理な姿勢は椎間板や椎体に負担をかけ、椎間板変性や圧迫骨折を助長し、さらに不可逆性の変形が進行します。近年、整形外科においてこのような“成人脊柱変形”が一つのトピックとなっておりますので、それについてご紹介したいと思います。

    脊椎のアライメントは主に冠状面アライメント(X線正面像での弯曲度)と矢状面アライメント(X線側面像での弯曲度)によって評価します。中でも“矢状面アライメント”の重要性が、最近数多く報告されています。

    本来腰椎から仙椎にかけてのアライメントは、前方に緩やかなカーブを描く「生理的前弯」を持っています。いわゆる「腰曲がり」でみられる前傾姿勢の場合、その前弯が失われており、時には後弯していることすらあります。その結果、上半身からの重心線は下肢より大きく前方に移動するので、歩くためには骨盤を後ろに傾けて股関節を前方に移動させ、さらに股関節と膝を屈曲させて、足部を重心線付近に近づけることが必要となります。

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