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我、氷島を往く(その3)─地球は生きている[なかのとおるのええ加減でいきまっせ!(166)]

No.4872 (2017年09月09日発行) P.71

仲野 徹 (大阪大学病理学教授)

登録日: 2017-09-06

最終更新日: 2017-09-05

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  • アイスランドといえば、ジュール・ベルヌの『地底旅行』で火口から地底へ降りて行く場所ですよね、とけっこう言われた。みんなよう覚えてはるなぁ。子どものころ読んだはずやけど、すっかり忘れてた。

    だからという訳ではないが、世界でここだけという火口探検ツアーに参加した。ドイツ製ビルの窓ふき用ゴンドラで降りて行った先にはなんとも言えない光景があった。

    照明された火口底には美しい岩石が犇めいている。雨粒が信じられないくらいゆっくりと落ちてくる。遙か120m上に噴火口が小さく見えて、光とともに昇降するゴンドラはまるで宇宙船のようだ。滞在時間は30分ほどなのだが、まったくの静寂の中、神秘的とも言える感覚を味わえた。

    「インサイド・ザ・ボルケーノ」で検索すると出てくるツアー案内を見てもらうとわかるが、料金は4万円強とバカ高い。ゴンドラは昇降に片道6分、一度に乗れるのは数人、営業は夏期だけでシーズン終了後には撤去、等から価格をはじき出すといたしかたないのだろう。それだけの値打ちがあるかと言われると微妙な気もするが、不思議な体験ができたからよしとしておこう。

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