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金剛石も磨かずば(その4)─原石の選び方[なかのとおるのええ加減でいきまっせ!(157)]

No.4863 (2017年07月08日発行) P.71

仲野 徹 (大阪大学病理学教授)

登録日: 2017-07-08

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  • 病理学総論は、組織学、生化学、分子生物学など、医学部入学後に学んだ知識がなければ理解できない。大げさではなく、学生も三回生になると、医学知識においておそらく100倍近い差がついている。講義中に質問をして、あまりに基本的な質問に答えられないので「これまで何を勉強してきたんや!」と怒鳴ることもしばしばだ。

    不出来な答案を見ながら、不合格者49名のうち希望した約半数の学生と5分程の雑談をした。どれくらい勉強していて、どんな生活を送ってきた学生かなどがおおよそわかる。あくまでもイメージだが、やる気や能力もかなり推測できるように思う。

    勉学意欲がゼロのどうしようもないのもいれば、真面目に勉強しているのにまったく点数につながっていない子もいる。前者は問題外として、後者は気の毒である。しかし、どうしてそんな子たちが、高偏差値を突破できたのかが不思議でたまらない。
    というようなことを、ある学会で某旧帝大医学部の生化学の先生にぼやいていた。すると、その先生、「いやぁ、阪大でもそんなのなら安心しました」って、そんな問題ちゃうがな…。「出来のいい学生をとってるはずなんですけどねぇ」と言ったら、「ホントにそうなってるんでしょうか」と。ん?そう言われたらそんな気がする。

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