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患者の報告に基づくアウトカム(PRO)の普及【FDAのガイダンス作成を契機に,まず臨床試験に導入。日常診療に取り入れる動きも】

No.4851 (2017年04月15日発行) P.57

黒田佑次郎 (福島県立医科大学公衆衛生学)

登録日: 2017-04-13

最終更新日: 2017-04-10

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近年,臨床試験において,医療者による評価だけでなく,患者の主観の評価である患者による報告に基づくアウトカム(patient reported outcome:PRO)の重要性が認識されるようになった。PROとは,生活・健康状態・治療について,面接もしくは自記式質問票により,患者または被験者から直接得られる情報を指す。

Baschら1)は,検査結果や客観的な基準に基づき重症度を判定する項目と比して,主観的な判断が伴う疼痛,神経毒性,疲労感などの項目では,医師と患者の評価がずれていたことを示した。したがって,患者の主観的な評価を導入することにより,早期の有害事象の発見および症状悪化を把握するとともに,精度の高い評価が可能となることが期待される。一方で,患者の主観面をどのように科学的に評価するかの議論がなされ,米国食品医薬品局(FDA)は2009年にPROの計量心理学的検討(信頼性,妥当性,臨床的意義)をまとめたガイダンスを作成した。それ以来,PROは広く臨床試験で用いられるようになった2)

PROを日常診療で用いる取り組みもなされている3)。患者の医療参画が進む中,PROの普及により医師・患者,研究者・被験者のコミュニケーションの向上も期待されている。

【文献】

1) Basch E, et al:Lancet Oncol. 2006;7(11):903-9.

2) FDA:Guidance for industry, patient-reported out­come measures:use in medical product develop­ment to support labeling claims. 2009. [http://www.fda.gov/downloads/Drugs/Guidances/UCM 193282.pdf]

3) Howell D, et al:Ann Oncol. 2015;26(9):1846-58.

【解説】

黒田佑次郎 福島県立医科大学公衆衛生学

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