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週1回投与のDPP-4阻害薬  【投与回数が少ないことで服薬コンプライアンスの改善に期待】

No.4794 (2016年03月12日発行) P.47

橋本 愛 (日本大学糖尿病・代謝内科)

石原寿光 (日本大学糖尿病・代謝内科主任教授)

登録日: 2016-03-12

最終更新日: 2016-10-26

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DPP-4阻害薬は2型糖尿病患者に対する経口血糖降下薬として,わが国では2009年から発売が開始された。グルコース代謝によるシグナルがなければインクレチン単独でのインスリン分泌は刺激されないことから,経口血糖降下薬の副作用である過度な低血糖が出現しにくく,発売開始から広く臨床使用されている。
2015年3月には,持続性選択的DPP-4阻害薬であるトレラグリプチンコハク酸塩の製造・販売が承認された。既存のDPP-4阻害薬は連日投与であるのに対し,本剤は1週間に1回100mgを経口投与することで血糖値,HbA1cの低下に十分な効果をもたらす,とされる。非薬物療法では血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者を対象に行った,アログリプチン25mg(1日1回投与)との24週間にわたる二重盲検比較試験では,非劣性が認められている(文献1)。
糖尿病治療は食事療法,運動療法を含む長期にわたる治療継続が必要であり,個々の患者の生活習慣に見合った治療の選択が重要となる。本剤は投与回数が少ないため,従来から問題となっている服薬コンプライアンスの改善に寄与し,内服開始に抵抗がある患者や,内服薬の自己管理が困難で,訪問看護や訪問診療を利用している高齢者にも適していると考える。本剤の発売が糖尿病患者の服薬コンプライアンスの改善につながることを期待したい。

【文献】


1) Inagaki N, et al:Lancet Diabetes Endocrinol. 2015;3(3):191-7.

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