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【私の一本】『最後の橋』

No.4748 (2015年04月25日発行) P.77

冨田和巳 (こども心身医療研究所所長/大阪総合保育大学教授)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-02-20

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  • 1954年製作のオーストリア・旧ユーゴスラビア合作映画(日本公開は1956年)。監督はオーストリアの名匠ヘルムート・コイトナー、主演はオーストリア出身の女優マリア・シェル(写真。筆者提供)

    映画が輝いていた時代のあまり知られていない傑作

    映画好きには「この一本」が少なくとも10本はある。これはその1つ。昭和31年(1956年)、中学3年生の時に観て、忘れられぬ一本になった。テレビ放映もされず、ビデオ(DVD)も発売されないので、「叶わぬ恋」のごとく、よけいに想いが募り、昔の感激を胸に秘め60年が経つ。

    第二次世界大戦下、ドイツの従軍女医が占領地のヘルツェゴビナの村で、逃亡しようとするパルチザンが射殺され橋から転落するのを目撃する。人が殺されるのを初めて目にして衝撃を受けた第一の橋。その後、パルチザンに誘拐され、敵側の傷病兵の治療をさせられながら、ドイツ軍との激戦を経験する第二の橋。その橋を渡る頃から、彼女のアイデンティティは混乱してくる。そして、味方の地にパルチザン側の者として潜入し血清を盗み、第三の橋を渡って敵地へ戻ろうとしたとき、橋を挟んで双方の銃撃戦が始まり、彼女は撃たれ傷つきながら血清を届ける。パルチザンの隊長が言う。「今はあなたに医者が必要なときである」。

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