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肺炎球菌ワクチン

No.4741 (2015年03月07日発行) P.48

藤田次郎 (琉球大学感染症・呼吸器・消化器内科 (第一内科)教授)

登録日: 2015-03-07

最終更新日: 2016-10-26

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成人の肺炎球菌ワクチンに関して,2014(平成26)年6月20日にプレベナー13R水性懸濁注において,65歳以上の高齢者に対する肺炎球菌(血清型1,3,4,5,6A,6B,7F,9V,14,18C,19A,19Fおよび23F)による感染症予防の適応追加が承認された。また,成人用23価肺炎球菌ポリサッカライドワクチン(ニューモバックスNPR)については,定期接種B類(従来の2類疾病)として14年10月から65歳を対象として定期接種が実施された。今後,これら2種類の肺炎球菌ワクチンの使用方法について整理していく必要がある。

小児における肺炎球菌ワクチンの動向としては,10年11月に小児に対する7価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV7)の公費助成が開始された。また,13年4月からPCV7は5歳未満の小児を対象に定期接種化(A類)され,さらに13年11月からは13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)に切り替わった。
一方,13年4月,侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)が感染症法に基づく感染症発生動向調査において5類感染症全数把握疾患となったことにより,IPDの疫学調査が可能となった。その疫学調査の速報(14年6月9日,IASR)として,13年4月からの1年間の総IPD報告症例数は1481例であると報告されている。
14年8月13日に米国のAdvisory Committee on Immunization Practices(ACIP)会議において,今後の成人の肺炎球菌ワクチン接種の方針が決定された。この決定は,わが国の方針と大きな差異があるため,臨床試験の結果や海外の報告などを含めて検証し,エビデンスに基づいたワクチン接種を実施すべきである。

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