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終末期医療と胃瘻

No.4702 (2014年06月07日発行) P.57

入谷 敦 (金沢医科大学高齢医学科教授)

森本茂人 (金沢医科大学高齢医学科教授)

登録日: 2014-06-07

最終更新日: 2016-10-26

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2012年1月に「高齢者の終末期の医療およびケア」に関する日本老年医学会の「立場表明」(文献1)が10年ぶりに改訂された。胃瘻などの経管栄養や人工呼吸器の装着に対する見解が初めて盛り込まれている。高齢者に最善の医療を行うために,「患者本人の尊厳を損なったり苦痛を増大させたりする可能性があるときには,治療の差し控えや治療からの撤退も選択肢」とし,「患者の意思をより明確にするために,事前指示書などの導入も検討すべき」とされている。
胃瘻が疾患からの回復の可能性を高める場合や,他の栄養手段によって感じている苦痛を減らせる場合もあるが,経口摂取を回避し胃瘻栄養にするのみでは嚥下性肺炎の再発は防げず,また胃瘻作成が本人や家族の予期しなかった終末期の延命治療につながる場合も考えられる。重度認知症,終末期を迎え,嚥下機能が廃絶した高齢者への栄養補給をどうすべきかについては,さらなる社会的議論が必要である。
今後も,人工的水分・栄養補給の導入についての意思決定のガイドライン(文献2)も参考にした主治医の適切な説明が,患者・家族にとっての最善の選択につながると考えられる。

【文献】


1) 日本老年医学会:日老医誌. 2012;49(4):381-4.
2) 大内尉義, 他:日老医誌. 2012;49(5):632-45.

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