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持続皮下輸液・持続皮下注法[私の治療]

No.5183 (2023年08月26日発行) P.43

白石 好 (ゆきはな診療所院長)

登録日: 2023-08-29

最終更新日: 2023-08-22

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  • 輸液は静脈投与が原則とされているが,終末期患者を扱う在宅医療の現場では,患者の衰弱などで静脈確保自体ままならないこともしばしばある。皮下への薬液投与方法は患者の苦痛,医療者の負担軽減に有用である。また,持続皮下注法は麻薬のPCA(patient controlled analgesia)において標準的方法である。

    ▶治療の考え方

    【皮下輸液の適応】

    脱水補正が症状緩和に有効と判断する場合や,患者本人が希望する場合に投与量を吟味して行う。

    看取りを見据えた状況における輸液については,病状から輸液療法が妥当であるか判断して実施する。がん末期や老衰末期の患者に対して,単に経口摂取が不可能になったからといって短絡的に施行すべきではない。浮腫や胸腹水など体液貯留症状や心不全や肺水腫などを認める場合には,輸液が症状悪化につながることを念頭に置いて十分に検討して実施する。

    【皮下注の適応】

    麻薬など継続が必要不可欠な薬剤が内服困難となった場合,また注射以外の方法では投与できない薬剤の使用のために行う。

    ▶手技の実際

    【物品,投与方法】

    サーフロー留置針(24G程度)を用いて主に腹部,状況に応じて胸部,背部などに刺入する。

    輸液では,500〜1000mLを24時間持続投与する方法,500mLを数時間かけて投与する方法がある。留置針とルートは3〜7日で交換する。

    持続皮下注射の器材は,ディスポーザブルタイプ(バクスター,ニプロなど),携帯型シリンジポンプタイプ(テルモなど),輸液ポンプタイプ(スミスメディカルなど)がある。薬液投与量に変化がない場合にはディスポーザブルタイプが簡便であり,50〜100mLと大容量で交換頻度も少なくてすむ。シリンジポンプタイプは,流量設定が変更できるという利点があるが,容量が10mLであり交換が頻回になることがデメリットである。輸液ポンプタイプは,流量設定変更,100mLまでの大容量である。高価であるがレンタルでの利用が可能である。

    【投与可能な薬剤,不可である薬剤】

    等張液(生理食塩水,1・3号液など),ビタミン類全般,抗菌薬(β-ラクタム系,モノバクタム系,クリンダマイシン,アミノグリコシド系),鎮静薬(ミダゾラム),麻薬全般は投与可能と考えられている。

    投与不可の薬剤は,上記以外の抗菌薬,パミドロネート,ジゴキシン,フェニトイン,ジアゼパムなどである。

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