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病診連携・診診連携[私の治療]

No.5182 (2023年08月19日発行) P.44

大橋博樹 (多摩ファミリークリニック院長)

登録日: 2023-08-22

最終更新日: 2023-08-15

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  • かかりつけ医とは「健康に関することをなんでも相談できる上,最新の医療情報を熟知して,必要な時には専門医,専門医療機関を紹介してくれる,身近で頼りになる地域医療,保健,福祉を担う総合的な能力を有する医師」と定義されている。1人の医師が患者すべての健康問題を解決するのではなく,他の医療機関の医師や他職種との連携を通じて,患者や家族を支えていくことが重要である。そのためにも,日頃から地域の中で自施設がどのような機能で貢献できるのか,また自施設で対応できない問題に対して,どのような他施設とどのように連携できるのか理解しておく必要がある。
    病診連携や診診連携は,病状に対してより専門的で適切な医療が受けられる,医療機関同士が連携している安心感が得られる,事前予約等により待ち時間が短縮される等,患者にとってもメリットが大きい。地域がひとつになって,患者や家族を支えていく体制をつくることが病診連携・診診連携の本来の目的である。

    ▶アセスメントのポイント

    まずは地域の基幹病院の地域医療連携室を訪れてみる。地域医療連携室は,病診連携における事務手続き(受診予約や検査予約等)を行うだけでなく,医療ソーシャルワーカーや看護師を配置して,入退院支援や地域の医療機関との架け橋となる役割を担っている施設も多い。地域医療連携室では,基幹病院の外来や病棟で困っていることを聞いてみるとよい。ある病院では,脳卒中後の外来フォローや定期的な訪問リハビリテーションの指示,慢性心房細動患者のワルファリンの用量管理,在宅診療移行もふまえた悪性腫瘍患者の症状管理等が挙げられた。このような悩みの中で,自施設が担えるものがあれば,積極的に連携が可能であることを伝えることで,基幹病院から地域の医療機関へ紹介する環境が整う。

    また,基幹病院に対しては,高度医療や救急医療の詳細を聞いておくことも重要である。たとえば,休日・夜間に緊急内視鏡が実施できる当直医(オンコールを含む)を配置している医療機関でなければ,時間外に消化管出血疑いの患者を紹介するのは困難である。あらかじめ,紹介元・紹介先の双方が「できること・できないこと」をしっかり把握することで,速やかな連携が可能となる。

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