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■NEWS 入院料別の入院患者の特徴を踏まえた入退院支援のあり方が論点に―入院・外来分科会

No.5180 (2023年08月05日発行) P.70

登録日: 2023-07-28

最終更新日: 2023-07-28

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診療報酬調査専門組織の入院・外来医療等の調査・評価分科会は720日、横断的事項として入退院支援について議論した。この中で厚生労働省は、入院料別の入院患者の特徴を踏まえた質の高い入院医療の推進や、退院後も必要な療養を受けながら住み慣れた地域での生活を継続できるようにするための入退院支援のあり方を論点として提示した。

高齢者の増加に伴う退院困難者の増加で、入退院支援は今後ますます重要になることが見込まれる。しかし厚労省のデータによると「地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料」(地ケア)や「回復期リハビリテーション病棟入院料」(回リハ)における「入退院支援加算12」の届出は7割程度で、「急性期一般入院基本料」や「特定機能病院入院基本料」などの910割よりも低い水準となっている。

■「入退院支援加算1」の届出有無で転院患者の早期受入などに差異―回リハ

入退院支援の対象患者の分析では、入院料別でその特徴に違いが見られた。「退院困難な要因」は、「急性期一般」では「緊急入院」の割合が高かった(20~30%)のに対し、「回リハ」と「地ケア」では「ADLが低下し、退院後の生活様式の再編が必要」の割合が高かった(40~50%)。また、回リハにおける取組状況の分析では、①急性期一般病棟と地ケア病棟のどちらも持たない施設はこれら病棟を持つ施設に比べ、「入退院支援加算1」の届出割合が低い、②「入退院支援加算1」の届出のある病棟は届出のない病棟に比べ、早期からの転院患者の受入や、リハビリ専門職による退院前の訪問指導の実施割合が高い―ことがわかった。

入院料別で患者の特徴に違いがあることを踏まえ、秋山智弥委員(名古屋大学医学部附属病院卒後臨床研修・キャリア形成支援センター教授)は、「入院料別の入退院支援の評価を考えてはどうか」と指摘。中野惠委員(健康保険組合連合会参与)は回リハでの取組を推進する方策として、「地ケアと同様に回リハも入退院支援部門の設置を施設基準で求めることを検討してはどうか」と提案した。

牧野憲一委員(旭川赤十字病院院長)は、「退院支援で最も大変なのは緊急入院だ」とし、「退院支援をさらに進めるには緊急入院をターゲットにいかに多くのマンパワーを割いていくかが重要な視点であり、今後はそうした評価も考えてほしい」と要請した。

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