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独居高齢者[私の治療]

No.5162 (2023年04月01日発行) P.39

森 清 (東大和ホームケアクリニック院長/在宅サポートセンターセンター長)

登録日: 2023-03-30

最終更新日: 2023-03-28

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  • 一人暮らしの高齢者数は増えており,医療者は,独居高齢者の生活支援を熟知する必要がある。本人の意思確認(どんな生活をしたいのか)・ACP(アドバンス・ケア・プランニング)・SDM(shared decision making:共有意思決定)は重要であるとともに,その生活におけるリスクの整理も大切である。他人を家に入れる勇気を持つことは必須となり,独居生活者を孤立化させない工夫も必要である。真摯にこの課題に向き合うことで,SDGsの17項目すべてが問われていることを感じることができる。

    ▶アセスメントのポイント

    入院患者の場合,退院時に独居生活が可能であるかの判断は,常に困難である。リスクを整理し,退院カンファランスを行い,危険が生じた場合・本人が意思を変更した場合・予期される治療可能な合併症が生じた場合などには再入院/緊急入所すること等を想定内として,リスクを共有することは大切である。試行錯誤が必要なこともある。訪問診療や訪問看護は,初回訪問前に少し長めの事前面談を家族または市役所など自治体担当職員とすることが好ましい。全盲であっても,寝たきりであっても,本人が望み,条件が整えば,自宅での生活が可能であり,在宅看取りも可能である1)

    ▶緊急時の対応

    本人から訪問看護や家族等への連絡方法の確認,毎日の本人の安否確認,キーボックス(またはそれに変わる方法)の確認を事前に行う。本人が最期はどうしたいのかなどの意思確認をした上で,どのようなときに入院を選択する可能性があるのかを本人・家族と相談し,事前に決めておく。入院先,入院方法も事前に決めておき,それらが困難である場合,本人/家族または自治体へ,リスクの説明とその了解が必要となる。

    ▶長期管理・経過観察上の臨床的注意点

    本人の意思・生活の上での幸福(ものがたり)を確認しつつ,生きがいの継続をめざす。様々な地域資源の活用を検討する。

    残り1,130文字あります

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