【質問者】
杉浦 毅 杉浦眼科院長
【確実な後部硝子体剝離作成がカギ,医療技術の進歩によって低侵襲に】
硝子体手術は,1970年代に開発された経毛様体扁平部アプローチによる手技が現在も一般的に行われています。とはいえ,手術機器や技術の進歩により,当時では考えられないほど安全で精度の高いものとなっています。糖尿病網膜症における手術の目的と流れを以下に挙げます。
①網膜新生血管の破綻によって生じた硝子体出血の切除
②網膜に付着した増殖膜の剝離除去
③牽引性もしくは裂孔原性網膜剝離の復位
④レーザー光凝固
実際の手術では,まず毛様体扁平部に25Gや27Gの太さの器具が挿入できる創口を3箇所作成します。その際に閉鎖弁つきのトロカールを用いることで,器具の出し入れ時に生じる創口への硝子体嵌頓を防ぎ,また創への物理的刺激を減らすことが可能となり,術中術後の創口関連合併症を減らすことができます。硝子体カッターで①を行いますが,カッターの開口部がよりシャフト先端に近い位置に改良され,カットレートが1万~2万cpmと高速になったことで網膜に近づいての操作を安全に行うことが可能となりました。
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