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水様便後に意識障害を呈した68歳女性[鑑別診断塾入門(24)]

No.5109 (2022年03月26日発行) P.11

塩尻俊明 (国保旭中央病院総合診療内科部長)

登録日: 2022-03-24

最終更新日: 2022-03-23

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【現病歴】(夫からの聴取)X-6時間(19時),家族と同じ食事をし,入浴と洗濯をして21時までテレビ鑑賞。X-3時間(22時),夫とほぼ同じ時間に就寝。X-1時間(0時),トイレに行ったのを夫が確認。「下痢をした」と言っていた。意思の疎通に問題は感じなかった。X-45分(0時15分),「お腹が緩い」と言って再びトイレに行ったが,戻ってこなかったので見に行くと,寝室の隣の和室で横になっていた。「大丈夫」と答えたので,毛布をかけて夫は自室に戻った。X-15分(0時45分),再度見に行き,まったく反応がないところを発見。救急要請。
<追加の情報>
日頃からアクティブで快活。就寝時まで夫はほぼ一緒に過ごしていた。両手,足肢を動かしている。流涎あり,咬舌なし,尿・便失禁あり(水様便),発汗あり。
【既往歴】高血圧,狭心症(63歳)。
【内服薬】アスピリン100mg,ジルチアゼム90mg,一硝酸イソソルビド40mg,オキサゾラム15mg
【生活歴】主婦。喫煙歴なし,飲酒歴なし,アレルギー歴なし。
【バイタルサイン】BT 34.2℃,BP 148/100 mmHg,HR 97/min,RR 23/min,SpO2 92%(RA)
【一般身体所見】著明な流涎あり,腸雑音亢進あり,発汗あり,水様便が持続。
【神経学的所見】意識状態:E4V1M1,脳神経領域:瞳孔1mm/1mm,対光反射わずかに+/+,眼球偏倚なし,睫毛反射・前庭眼反射は保たれている。顔面の左右差なし,運動:両上下肢を刺激なしに動かしている。深部腱反射正常,Babinski徴候陰性。髄膜刺激徴候:項部硬直なし。

 キーワード 
・SpO2 92%(RA)  
・著明な流涎と発汗
・水様便の持続と腸雑音亢進
・縮瞳を伴った意識障害
・深部腱反射正常,Babinski徴候陰性

考えられる診断は?

A. 脳幹梗塞
B. 農薬中毒
C. ベンゾジアゼピン中毒
D. 急性オピオイド中毒
E. CO2ナルコーシス

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