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(1)TANKO,RPS,NOTES胆摘術[特集:胆石症治療の現状]

No.4946 (2019年02月09日発行) P.28

登録日: 2019-02-12

最終更新日: 2019-02-06

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単孔式内視鏡手術(TANKO)による胆摘術は創が目立たないよう,臍をアクセスポートとすることで整容性を追及した術式であるが,視野展開の工夫と動作制限の克服が必要である

Needleによる胆摘術は鉗子を細径化することで低侵襲性・整容性を追及した術式で,動作制限や視野展開は従来の内視鏡手術に遜色がない。しかし細径化デバイスの性能に手術のクオリティが影響を受けるため,現在もデバイス開発が進められている

異なる目的で進化したTANKOとNeedleという2つの術式を融合し,安全性の担保や低侵襲性・整容性を追及することを目的としたreduced port surgery(RPS)という概念が生まれた

手術操作や臓器摘出について腟や直腸などのnatural orificeを利用することで腹壁に傷をつけずに手術をする経管腔的内視鏡手術(NOTES)胆摘も散発的に報告されているが,いまだ発展途上である

1. 胆囊摘出術の変遷

腹腔鏡手術が普及した最大の要因は,開腹手術に比べ低侵襲であり整容性が優れていることである。腹腔鏡下胆囊摘出術は1985年にMühe(ドイツ)により最初に施行され1),その後欧米を中心に普及し,1990年にわが国でも山川らにより最初の手術が行われた。その後腹腔鏡手術の発展は,体壁損傷のさらなる減少や整容性の向上が追求されるようになり,単孔式内視鏡手術の概念を生む。1997年にNavarraらが臍部を利用して腹壁に1箇所の傷をつけて行うone-wound laparoscopic cholecystectomyとして報告したのが最初の単孔式腹腔鏡胆囊摘出術とされている2)が,操作性の問題から単孔式手術はその後しばらく普及しなかった。

単孔式手術が,再び脚光を浴びたのは2004年,インドで経口内視鏡を用いた経胃的虫垂切除術が報告され,欧米を中心に究極的低侵襲手術として経管腔的内視鏡手術(natural orifice translumenal endoscopic surgery:NOTES)の機運が高まったことにある。体壁を一切損傷しないNOTESの出現は外科手術の到達目標と思われたが,胃や腟といった管腔壁を意図的に穿孔させる手技のため,合併症や適応が議論となった。そこで,臓器を取り出すルートに管腔壁を用いるNOTESに代わる術式として,臍を摘出ルートに利用する単孔式手術の高い整容性に再度注目が集まったのは自然の流れであろう。

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