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若年層におけるインターネット依存・ゲーム障害

No.4937 (2018年12月08日発行) P.57

河邉憲太郎 (愛媛大学精神科)

登録日: 2018-12-10

最終更新日: 2018-12-04

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【急増・重症化に伴い診断基準の確立が進められている】

わが国でのインターネット利用率は増加しており,利用するデバイスはパソコン,タブレット端末,携帯ゲーム機など様々である。これらネット利用は,我々の生活へ急速に定着する一方で,のめり込み,自身での制御が困難となり,生活上の問題をきたすネット依存が顕在化している。2013年に米国精神医学会から発行されたDSM-5では「今後の研究のための病態」として,「インターネットゲーム障害」が発表された。ネット依存を背景に,オンラインゲームへの依存が問題となり,若年層では特に深刻化していると予想される。

筆者らが行った中学生の実態調査では,ネット依存の可能性がある者は23.7%と高率であった1)。また,ネット依存傾向が強いほど精神的健康度が悪く,依存をきたす電子機器としてスマートフォンの影響が大きいことを明らかとした。

若年層におけるネット利用は,双方向性の情報伝達の良い手段となり教育上有意義であるものの,過剰で不適切な利用は学力低下につながり,睡眠障害など生活上の問題を引き起こし不登校などへとつながるため,早期介入が必要となる。適切な介入には,本人および家族の協力が必要となるが,背景因子のひとつに家庭機能不全,特に母親との関係に問題があることが示されている2)

ネット依存は診断基準すら研究段階であり,確実な治療法はない。実態の把握に加え臨床症例の蓄積など,今後の研究の進展が期待される。

【文献】

1) Kawabe K, et al:Psychiatry Clin Neurosci. 2016; 70(9):405-12.

2) Xu J, et al:BMC Psychiatry. 2014;14:112.

【解説】

河邉憲太郎 愛媛大学精神科

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