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コウノメソッドでみる 認知症処方セレクション<第2版>

認知症と紛らわしい鑑別疾患にADHDを加え,全面改訂!

定価:4,752円
(本体4,400円+税)

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著: 河野和彦(名古屋フォレストクリニック院長)
判型: B5判
頁数: 288頁
装丁: 2色刷
発行日: 2018年03月16日
ISBN: 978-4-7849-4360-9
版数: 第2版
付録: -

●認知症診療30年の経験から編み出された認知症治療体系「コウノメソッド」シリーズ“処方編”の最新版! 初版刊行から4年の進歩を盛り込みパワーアップ!
●新規項目として近年注目される認知症と大人のADHD(発達障害)の見分け方・治療法を盛り込みました!
●認知症を伴う神経難病の歩行障害に対する新しい点滴療法「コウノカクテル」も紹介しています。
●「処方はmg単位まで公開」という実践重視のコウノメソッドにおける全68の改善症例の処方詳細がこの一冊に!

目次

(仮目次)

Ⅰ 総説─診断のありかた

Ⅱ 改善症例集
(1) treatable dementia
CASE1 甲状腺機能低下症によってtreatable dementiaを生じた例
CASE2 レビー小体型認知症に正常圧水頭症を合併した例
CASE3 レビー小体型認知症(第3期)に正常圧水頭症を合併した例
CASE4 ピック病に正常圧水頭症(手術例)を合併した例
(2) アルツハイマー型認知症
CASE5 グラマリール®(抑制系薬剤)単剤で素行が改善した例
CASE6 興奮系薬剤が奏効した陰証患者の例
CASE7 中核薬2種の最低用量カクテル処方で改善した例
CASE8 ドネペジル中止により改善した例
CASE9 脳梗塞に隠されたアルツハイマー型認知症にドネペジルが奏効した例
CASE10 アルツハイマー型認知症に起きた脳血管性うつ状態が改善した例
CASE11 シンメトレル®とニコリン®H注射で改善したアパシーの例
CASE12 抗うつ薬の中止とフェルラ酸含有食品が回復に寄与した例
CASE13 シチコリン注射とリバスタッチ®パッチで改善した混合型認知症の例
CASE14 リバスタッチ®パッチとフェルラ酸含有食品で栄養障害が改善された混合型認知症の例
CASE15 超高齢者の食欲不振にスルピリド50mgが著効した例
(3) 前頭側頭葉変性症
CASE16 ウインタミン®前投薬で検査に応じるようになった例
CASE17 ドネペジルが運動常同を引き起こしていたピック病の例
CASE18 ドネペジル中止で翌日から徘徊が消えたピック病の例
CASE19 ピックセット+αの薬剤によって陽性症状が抑えられた例
CASE20 セロクエル®で大声が減り,抑制系薬剤のみで長期間維持しているピック病の例
CASE21 ピックセットで病的なこだわりが消えた例
CASE22 CDPコリンがアパシー,歩行の改善に寄与した意味性認知症の例
CASE23 レミニール®4mgで活発になったFTD-MNDタイプの例
CASE24 ドネペジル減量,メマリー®中止で疎通性が改善した重度意味性認知症の例
CASE25 サインバルタ®で入院を回避できた重度意味性認知症の例
CASE26 重度意味性認知症にレミニール®とメマリー®が著効した例
CASE27 初診から3年半後にHDS-Rが3点上昇した意味性認知症の例
CASE28 メマリー®とフェルラ酸含有食品が著効した重度進行性非流暢性失語の例
CASE29 リバスタッチ®パッチが大脳皮質基底核変性症の歩行を改善した例
CASE30 リバスタッチ®パッチで進行性核上性麻痺が改善した例
CASE31 強いすくみ足が長期先行する進行性核上性麻痺の歩行が3週間で改善した例
CASE32 進行性核上性麻痺に生じた薬剤性ジスキネジアを4カ月半で改善させた例
CASE33 進行性核上性麻痺のアパシー改善にN-アセチルシステインが寄与した例
CASE34 歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症の歩行が30分で改善した例
(4) レビー小体型認知症
CASE35 抑肝散のみで集中力が増し,相手の目を見るようになった例
CASE36 ドネペジル1mgで十分な改善がみられた例
CASE37 ドネペジル,リスパダール®の中止で体幹の傾斜が改善した例
CASE38 混合型認知症の「レビー化」への対応を敏速に行うことができた例
CASE39 うつ病と診断されたレビー小体型認知症がリバスタッチ®パッチで改善した例
CASE40 抗精神病薬により衰弱したレビー小体型認知症が胃瘻抜去に至った例
CASE41 パーキンソン病治療薬を整理して大幅な改善がみられた例
CASE42 リバスタッチ®パッチを中心とした複数薬剤の微量投与で改善した例
CASE43 リバスタッチ®パッチの“9mgピーク”がみられた例
CASE44 メマリー®の最低用量(5mg)が著効した例
CASE45 カクテル処方で歩行も表情も別人のようになったLPCの例
CASE46 カクテル処方により施設長と間違えられるほど改善した例
CASE47 ドネペジル中止とパーキンソン病治療薬の整理で徐々に改善した例
CASE48 パーキンソン病治療薬を減量して速やかに改善した例
CASE49 ドネペジル中止でDBCスコアが満点近くまで改善した例
CASE50 “食欲セット”とニコリン®H注射1回で食欲が改善した例
CASE51 頻回のシチコリン注射で歩行が可能になった例
CASE52 シチコリン注射とフェルラ酸含有食品で経口摂取が可能になった例
CASE53 点滴が無効だったレビー小体病にサプリメントが寄与した例
(5) その他の認知症
CASE54 脳血管性認知症から軽度認知障害に改善した例
CASE55 脳血管障害後の認知症にルンブルクスルベルス含有食品が寄与した例
CASE56 交通事故後遺症からの回復にフェルラ酸含有食品が寄与した例
CASE57 LPCに似た石灰沈着を伴うびまん性神経原線維変化病が改善した例
CASE58 フェルラ酸含有食品で脳炎後認知症が改善した例
CASE59 リバスタッチ®パッチにより歩行・易怒が改善した筋強直性ジストロフィーの例
(6) 認知症と誤診しやすい精神疾患
CASE60 1年半の誤診ののちに注意欠如・多動性障害と診断し,改善が得られた例
CASE61 抗うつ薬減量で回復した双極性障害による仮性認知症の例
CASE62 統合失調症に家族性アルツハイマー病を合併した例
CASE63 低用量で治療薬を再開して著効に至った注意欠如・多動性障害の例
CASE64 注意欠如・多動性障害とレビー小体型認知症が合併した例
CASE65 ウルトラマラソン参加が症状のひとつだった注意欠如・多動性障害の例
CASE66 側頭葉てんかんが制御されたことで認知機能が改善した例
CASE67 知的障害(非自閉)に合併したFTD-FLDタイプの素行が改善した例
CASE68 レビー小体型認知症と誤診していた非定型うつ病の例

Column
レミニール®の副作用対策
ドネペジルの副作用
危険をはらむドネペジルの高用量処方
春という季節と認知症の傾眠について
うつ状態とアパシー
前頭側頭型認知症(FTD)の分類
レミニール®の8mg+8mgは危険域を超えている
テレビ番組から学ぶ
リバスタッチ®パッチのかぶれ対策
栄養改善は高齢者医療の基本
認知症と発達障害の薬剤反応性は釣鐘状
レビー・ピック複合(LPC)の定義
“睡眠セット”について
全国で頻発する嘱託医問題
患者の写真を撮る必要性
パーキンソン病治療薬だけで歩行を改善させようと思ってはならない
頭の隅に入れておくべきこと――認知症と誤診しやすい疾患
絶対に見逃してはならない注意欠如・多動性障害
注意欠如・多動性障害の除外はできていますか?


索引
あとがき

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序文

改訂によせて

 本書は当初,「コウノメソッドシリーズ」の第2弾として2013年11月に出版されました。それからおよそ4年が経過して,コウノメソッドもさらに進化しました。
 その進化のひとつは,認知症を伴う神経難病の患者さんの歩行を,今までにない手法で可能にした治療法です。「コウノカクテル」と呼ぶ点滴療法ですが,さらにはその代替となることを期待して導入した米国のサプリメント(CDPコリン,N-アセチルシステイン)も予想以上の成果を上げ,“新コウノメソッド”になくてはならない武器になりました。

 そしてもうひとつトピックがあります。認知症という山の頂上をめざしていた筆者は,2017年3月,深いクレバスに転落しました。その暗闇の中に,「大人の発達障害」という未知の世界が広がっていました。
 改訂長谷川式スケールが満点近いのに,記憶できないと訴え続ける方が「注意欠如・多動性障害(ADHD)」だったのです。これはアセチルコリン賦活では治りません。また俗に言う,自分勝手で空気が読めない,オタク趣味,キレやすい性格など,昔から「困った性格」と言われていたものの“一部”は,アスペルガー症候群(AS)という発達障害だったのです。
 学歴が高いのに他人との協働が必要な仕事を任されると,何度教えてもらってもわからない,結婚したあと怒りっぽくなり配偶者に暴力を振るう,といった問題の多くに大人の発達障害が関係していると気づきました。
 認知症には,これら大人の発達障害が医学的,社会的に重大なリンクをしていました。筆者は,30年以上もこの発達障害を知らずに認知症診療を続けるという大きな罪を犯していました。なぜなら,軽度認知障害(MCI)の1割は発達障害だったからです。もっとも,MCIについて書かれた医学書にADHDを鑑別疾患に挙げたものはいまだありません。1日も早く筆者自身が言及しなければならないと思いました。
 こんなケースもあります。どうみてもアルツハイマー型認知症(ATD)の脳萎縮,さほどピック症状もない82歳の女性。独身で短大卒。住まいはごみ屋敷だといいます。やはりピック病なのだろうかと考えつつ,女性の妹に若い頃のことを聞くと,若い頃から掃除をしない,衝動買いする,キレやすい,見合い話を全部断ったといったエピソードが出てきました。患者はASを合併したADHDであり,それに加えてATDが発症したためにピック病にみえたのです。
 認知症患者の介護を引きこもりの孫が任されていることがよくあります。もしピック病の患者をASの孫が介護していたらどうなるでしょうか? さらに,ピック病にドネペジル,ASに選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)が処方されたらどうなるでしょうか? 介護殺人のリスクが上がる可能性を危惧するのは,考えすぎでしょうか?

 クレバスに落ちた筆者は,その後,外来で患者の若い頃のことを必ず聞き出し,発達障害でないことを確認してから認知症の診察をするようになり,また発達障害患者のいる家系には,その方も診させてほしいと声をかけています。
 筆者は内科医であり精神科医ではありません。しかし発達障害を理解することで,国民の精神病理を俯瞰できるようになってきました。非定型の病態に発達障害がベースにあることが多いのです。

 この改訂版では,筆者の失敗をたくさんお見せしたいと思います。

2018年2月 著 者

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