最近,肝癌治療を取り巻く環境はめまぐるしく変化している。レゴラフェニブとレンバチニブの有効性が立て続けに証明され,ソラフェニブ以外に有効な薬物療法の選択肢が追加された。さらに免疫チェックポイント阻害薬も,近い将来,わが国の臨床現場に導入されると期待されている。治療選択肢が増えること自体は福音であるが,一方で治療戦略は複雑化している。肝癌診療ガイドラインは2017年10月に改訂されたが,その流れを受け,治療アルゴリズムが大幅に変更された。本特集ではまずその変更内容につき概説頂き,さらに今後の肝癌治療の方向性について,外科内科のそれぞれの立場からExpertの先生方に解説頂いた。日常診療にお役立て頂ければと願う次第である。
1 肝癌における最新治療アルゴリズム ─肝癌診療ガイドライン2017年版の紹介
竹村信行(国立国際医療研究センター病院肝胆膵外科医長/診療科長)
長谷川 潔(東京大学大学院医学系研究科臓器病態外科学肝胆膵外科教授)
國土典宏(国立国際医療研究センター理事長)
2 外科治療を考慮すべき病態
中村育夫(兵庫医科大学肝・胆・膵外科講師)
波多野悦朗(兵庫医科大学肝・胆・膵外科教授)
3 集学的治療を考慮すべき病態
建石良介(東京大学大学院医学系研究科がんプロフェッショナル養成プラン/消化器内科学特任講師)