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■NEWS 消費税10%引上げ時は基本診療料への上乗せ軸に対応―中医協分科会が方針案を了承

No.4936 (2018年12月01日発行) P.19

登録日: 2018-11-22

最終更新日: 2018-11-22

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中央社会保険医療協議会の「医療機関等における消費税負担に関する分科会」(分科会長=荒井耕:一橋大大学院教授)は11月21日、消費税率10%への引上げに伴う医療機関の負担増への対応方針案を分科会長一任で了承した。消費税負担の補塡については、5%から8%への増税に対応した2014年度と同様に、初・再診料等の基本診療料への上乗せを中心に行う。対応方針案は修文を経て12月の中医協総会に報告される。具体的な点数は予算編成で決まる引上げ幅を踏まえ、年明けの総会で審議される。

2019年度の消費増税対応改定では、現状で医療機関全体の補塡不足と医療機関種別ごとの補塡にバラツキが出ていることを踏まえ、14年度改定(8%引上げ時)の対応を仕切り直す。配点方法を変更し、5%分(5%→10%)の増税に対応する形で補塡状況の適正化を図る。

診療所については、配分される財源のほぼ全額を初・再診料への上乗せに充てた14年度の方法を改め、まず無床診療所の消費税負担を考慮し、初・再診料に配分を行う。病院については、配分される財源に占める入院料の比率を高め、入院料への上乗せを14年度より厚くする。入院料の配点方法も見直し、課税経費率に加えて、総収入に占める入院料の収入額の割合も考慮して補塡点数を決めることで、病院種別ごとの補塡のバラツキを是正する。

いわゆる個別項目(検査、投薬、手術等の点数項目)への上乗せを巡っては、検討を求める支払側と反対派の診療側で意見が最後まで対立したが、「基本診療料との関係上、上乗せしなければ不合理になると思われる項目等に補完的に上乗せする」ことで落着した。

■「診療報酬の限界」明記へ

厚生労働省は同日、配点方法の見直しを反映した8%引上げ対応時のシミュレーション結果を提示。2016年度の補塡率を把握調査の値と比べると、病院が85.0%から100.6%に、一般診療所が111.2%から99.8%になり、補塡超過だった精神科病院と大幅な補塡不足だった特定機能病院も概ね100%となった。

厚労省は「補塡のバラツキは相当程度是正されると見込まれる」としたのに対し、診療側、支払側の双方から、診療報酬では個別の医療機関ごとの補塡のバラツキまで解消することはできないとの認識が示された。このため、対応方針案に「診療報酬のみでの消費増税対応には限界がある」旨の一文が明記されることになった。

消費税補塡における「診療報酬の限界」を再三にわたり強調した診療側委員

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