株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

慢性腎臓病とマグネシウム【マグネシウムは血管石灰化やCKD進展を抑制する】

No.4914 (2018年06月30日発行) P.54

猪阪善隆 (大阪大学腎臓内科教授)

登録日: 2018-06-27

最終更新日: 2018-11-28

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

マグネシウム(Mg)は血管平滑筋細胞のCaチャネルに拮抗し,血管トーヌスを低下させ,血管拡張作用を有する。実際,Mg摂取量が300mg/日未満では高血圧発症のリスクが上昇する。血清Mg濃度と心血管死亡のリスクは逆相関を示し,Mg濃度が0.1mEq/L(=0.24mg/dL)増加すると心血管死亡の相対リスクは9%低下する。

CKD患者では,高リン血症に伴う血管石灰化に対しMgが抑制性に作用する。平滑筋細胞は高リン状態では骨芽細胞様細胞へと形質転換し石灰化能を呈するが,Mgは高リンによる作用を抑制する。透析患者の高リン血症に伴う死亡リスクに対するMgの影響も同様である。Mg低値群,中間群ではリンの上昇に伴い心血管死亡のリスクは上昇するが,Mg高値群ではリン値が上昇しても死亡リスクは上昇しない1)。CKDの進展に関しても,Mgが保護的に作用する。糖尿病性腎症患者においては,Mg低値群(<1.8mg/dL)は高値群に比べて2.12倍(95%CI;1.28~3.51,P=0.004)末期腎不全のリスクが高い2)。非糖尿病CKD患者においても,高リン・低Mg群は末期腎不全への進展速度が有意に早く,高リン・高Mg群と比べても2.07倍リスクが高い3)。高リンによるミトコンドリアの膜電位の低下やアポトーシスの誘導をMgが抑制すると考えられている。

【文献】

1) Sakaguchi Y, et al:Kidney Int. 2014;85(1): 174-81.

2) Sakaguchi Y, et al:Diabetes Care. 2012;35(7): 1591-7.

3) Sakaguchi Y, et al:Kidney Int. 2015;88(4): 833-42.

【解説】

猪阪善隆 大阪大学腎臓内科教授

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

関連物件情報

もっと見る

page top