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気力・体力の減退 × 補中益気湯[漢方スッキリ方程式(15)]

No.4911 (2018年06月09日発行) P.14

玉木優子 (東京・目黒区 たまきクリニック院長)

登録日: 2018-06-07

最終更新日: 2018-11-28

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忙しい現代社会では皆大なり小なり疲れを感じています。疲労は痛み・発熱と並んで生体の3大アラームと言われ,生命と健康を維持する上で重要な信号の1つです。疲労は身体的・精神的な様々なストレスにより内分泌系・神経系・免疫系に影響を及ぼします。

単なるエネルギー切れの場合は食べることや休憩することで治りますが,疲れは睡眠不足や過労・人間関係のストレスが身体と心にかかってきた負担の結果でもあります。

疲労は筋肉などに由来する末梢性疲労と脳が主体となる中枢性疲労に分類され,病的かどうかにより生理的疲労と病的疲労に分類することもあります(表)。

疲れや倦怠感は漢方医学的には虚の状態であり,補剤が頻用されます。

気・血・水のバランスをとる

使用目標は以下の通りです。

◦精神的疲労…半夏厚朴湯・加味帰脾湯・酸棗仁湯
◦身体的疲労…補中益気湯・十全大補湯・黄耆建中湯・人参養栄湯
◦虚弱体質…小建中湯・桂枝加竜骨牡蛎湯・抑肝散加陳皮半夏
◦女性の倦怠感…当帰芍薬散・加味逍遙散
◦胃腸の弱い人の倦怠感…六君子湯・柴胡桂枝湯
◦夏バテ…清暑益気湯

疲れや倦怠感は病気の始まりでもあることが多いので,きちんと症状に向き合うことが大切です。東洋医学では,足りないものは補い,過剰なものは減らし,気・血・水のバランスをとることを考えます。

漢方は無理やり疲れを取りテンションを上げるのではなく,その人を正常な状態に戻すように作用するので安心して使えると思います。

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