株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

静がんメソッド 泌尿器癌編 静岡がんセンターから学ぶ最新化学療法&有害事象マネジメント

静がんならではの経験的ポイントを公開

定価:4,840円
(本体4,400円+税)

数量

カートに入れる

立ち読み

監修: 安井博史(静岡県立静岡がんセンター副院長/消化器内科部長)
編著: 庭川 要(静岡県立静岡がんセンター泌尿器科部長)
判型: B5判
頁数: 124頁
装丁: 2色刷
発行日: 2016年06月01日
ISBN: 978-4-7849-5625-8
版数: 第1版
付録: -
好評シリーズの泌尿器癌編が登場。患者さんの状態や背景がさまざまで「この治療法を」という“正解”が存在しない癌化学療法。本書は,多数の癌患者さんを診療する静がん(静岡県立静岡がんセンター)での経験則から,治療選択の注意点や有害事象対策のポイントを解説。EBMを根幹としつつ,EBMだけではカバーしきれない,静がんの実臨床から得られた経験的ポイントを惜しげもなく公開。
第1章では各癌腫に対する化学療法,手術,放射線療法などの治療決定の指針「SCC院内ガイドライン」を提示。第2章では重要なレジメンについて個別に解説し,投与量や投与スケジュールなどの基本的事項のみならず,起こりうる有害事象とそのマネジメントについても詳述。
診療科: 泌尿器科 泌尿器科
シリーズ: 静がんメソッド

目次

1.SCC院内ガイドライン
2.レジメン・有害事象マネジメント
■膀胱癌
MMC, ADM膀胱内注入療法
BCG膀胱内注入療法
GC療法
M-VAC療法
PTX+GEM療法
■前立腺癌
combined androgen blockade(CAB)療法
アンドロゲン交替療法
アビラテロン
エンザルタミド
エストラムスチン
カバジタキセル
ETP+CBDCA
ステロイド
DTX
■腎細胞癌
TKI(チロシンキナーゼ阻害薬)
TKI ①ソラフェニブ
TKI ②スニチニブ
TKI ③アキシチニブ
TKI ④パゾパニブ
m-TORI(哺乳類ラパマイシン標的蛋白質阻害薬)
m-TORI ①エベロリムス
m-TORI ②テムシロリムス
■精巣胚細胞腫瘍
EP療法
VIP療法
TIP療法
BEP療法
GEMOX療法

もっと見る

閉じる

序文

序文€

€ 泌尿器科領域にあっては,従来抗癌剤化学療法は,尿路上皮癌,精巣胚細胞腫瘍に対する治療がなされていたが,近年相次いで,転移性腎細胞癌,去勢抵抗性前立腺癌に対する薬剤が多数開発,上市され,広く使用されるようになってきた。従来のシスプラチンを中心とする細胞毒性薬では,有害事象のプロファイルなど,薬剤の種類によらず近似した部分もあるが,腎癌を中心とした分子標的薬,前立腺癌における新しいホルモン療法薬など,有害事象のプロファイルが大きく異なり,患者の治療管理において,留意すべき事項が多岐にわたるようになってきている。また,それぞれの疾患に対して,いつ,何を投与するべきかという薬剤の選択についてもコンセンサスの形成がまだなされておらず,混沌とした状況と言える。€
また,従来は姑息治療として主に実施されてきた尿路上皮癌に対する抗癌剤化学療法も,neoadjuvantまたはadjuvantとして根治目的に投与する機会も増えてきている。€
このような状況で,当センターで実施している抗癌剤化学療法の実際の投与方法について,まとめて報告させて頂いた。読者の日常診療の一助になれば,幸いである。
この静がんメソッドのシリーズでは,全編を通して,有害事象に対しての減量基準と減量早見表をつける体裁になっているが,泌尿器科編の精巣胚細胞腫瘍の章では,あえて記載を見送った。本シリーズで取り扱う治療は,ほとんどが姑息治療であるが,精巣胚細胞腫瘍の抗癌剤化学療法は完全長期寛解を目的とした根治治療だからである。姑息治療にあっては,治療期間中の患者のADL,QOLに配慮した治療継続は当然であり,減量早見表は多忙な日常診療の中で参考になることが多いと思われる。しかしながら,根治治療にあっては,もちろん患者のADLやQOLは重要であるが,それよりも治療強度(dose intensity)の維持が大切である。進行精巣胚細胞腫瘍は,肺転移5個以内,2cm以内,後腹膜リンパ節転移5cm以内であれば,適切な治療により,95%の患者で長期寛解が獲得できる疾患で,たとえ,high riskと言われる集団(骨,肝などの臓器転移,腫瘍マーカーが非常に高い症例)でも,半数で長期寛解が期待できる。不幸にして寛解に至らなかった集団の解析では,dose intensityの不足が指摘されている。有害事象の管理にあっては,マニュアル化した減量は厳に慎むべきと考えている。治療計画にあっては,個々の症例の現状を詳細に把握し,解析検討することをお願いしたい。
€
静岡県立静岡がんセンター€
泌尿器科部長€
庭川 要

€



€

静がんメソッドシリーズの監修にあたって

€

€
€ 現在の化学療法の多くは,EBMに基づき,各癌腫ごとにガイドラインが整備されてきました。しかし,実臨床においてはいわゆる「標準治療」が適応され,何も悩まずに治療できる患者さんの割合は決して多くないのが現状です。患者さんの病態,全身状態ならびに治療目的,仕事環境,家庭環境など様々な情報に,医師の経験を加味して治療法を選択するわけですが,「この治療法」という正解があることは少なく,患者さんの状態も臨床試験のように一定というわけにはいかないため,多かれ少なかれ迷いながら治療をされているのが実情だと思います。当院へのセカンドオピニオンにおいても,高齢や腎機能低下,心機能低下といった合併症を持つ患者さんへの治療といった様々なパターンの治療選択の悩みが多く見受けられます。また,他院の先生からは「セカンドオピニオンという堅苦しい形ではなくてもいいので,治療のポイントやアドバイスがもらえれば助かる」との意見もたびたび聞かれます。我々のようながん専門病院は必然的に多くの患者さんを治療するわけですが,標準治療外の患者さんの治療において悩む点は同じです。ただ,我々は様々な患者さんの治療経験の積み重ねにより,治療選択における注意点や有害事象対策におけるポイントをいくつか持っています。当然,EBMが医療の根幹であり,まずはEBMをしっかり理解し治療することが必要ですが,EBMにはない,経験から得られるポイントが実臨床で悩んだときの大きな支えになります。この本は一般的なガイドラインとは違い,当院が実臨床として培ってきた経験的ポイントを公開することを目的として作成しています。そのため,EBMのあるもの,ないものすべてが記載されていることを十分認識した上でご活用頂ければ幸いです。患者さんの視点に立ち,すべての患者さんの希望に添った最善の治療(必ずしも化学療法のみではなく,緩和治療も含めた治療)を行うための参考になれば幸いです。

€

最後に,多忙な中,この本を出版するにあたり御執筆頂いた静岡県立静岡がんセンターの各科の先生方に深謝申し上げます。

€
€

静岡県立静岡がんセンター

€

副院長兼消化器内科部長

€

安井博史

"

もっと見る

閉じる

シリーズ書籍

関連書籍

関連記事・論文

関連求人情報

公立小浜温泉病院

勤務形態: 常勤
募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・消化器外科 各1名
勤務地: 長崎県雲仙市

公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

当病院は島原半島の二次救急医療中核病院として地域医療を支える充実した病院を目指し、BCR等手術室の整備を行いました。医療から介護までの医療設備等環境は整いました。
2022年4月1日より脳神経外科及び一般外科医の先生に常勤医師として勤務していただくことになりました。消化器内科医、呼吸器内科医、循環器内科医及び外科部門で消化器外科医、整形外科医の先生に常勤医師として勤務していただき地域に信頼される病院を目指し歩んでいただける先生をお待ちしております。
又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。透析数25床の能力を有しています。15床から開始いたしましたが、近隣から増床の要望がありお応えしたいと考えますが、そのためには腎臓内科(泌尿器科)医の先生の勤務が必要不可欠です。お待ちいたしております。

●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問看護、訪問介護、訪問診療体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top