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顎口虫症

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-03-28
吉川正英 (奈良県立医科大学医学部病原体・感染防御医学教授)
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  • ■疾患メモ

    顎口虫症は,顎口虫属の線虫の幼虫に感染して引き起こされる幼虫移行症で,食品媒介性寄生虫疾患である。成虫は野生の雑食動物の胃あるいは食道壁に寄生し,淡水のケンミジンコを第1中間宿主,小型淡水魚やカエルなどを第2中間宿主とし,ヒトが第2中間宿主を十分に加熱しない調理法で摂取して感染する。

    タイ,中国,韓国,ベトナム,ラオスなどのアジア地域とメキシコ,エクアドルなどの中南米が流行地として知られている。わが国では川魚の刺身やマムシの生食が原因として報告されているほか海外での感染例もある。

    人体寄生が報告されているのは,有棘顎口虫,剛棘顎口虫,日本顎口虫,ドロレス顎口虫,二核顎口虫の5種である。幼虫は,人体内で成虫になれずに体内のあちこちを移動して様々な症状を呈する。爬行疹や移動性皮下腫瘤など皮膚症状を主体とするものから,幼虫が胸腔や中枢神経系を含む他の内臓に迷入して重い症状を呈するものまである。

    感染源が限られているので,問診で居住地,淡水魚,両棲類,爬虫類の生食歴を聞き出すことが重要である。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    最も多い症状は皮膚の線状爬行疹(creeping eruption)や遊走性限局性皮膚腫脹(移動する皮下腫瘤)である。

    有棘顎口虫と二核顎口虫は深部皮下組織に迷入するため,移動性皮下腫瘤型の病変が多く,数年にわたって出没を繰り返し,稀に中枢神経系や眼球などの思いがけない部位に迷入し重篤な症状を呈することがある。死亡例や失明例の報告もある。

    一方,他の3種の顎口虫感染では浅部皮下組織を移動する線状爬行疹が多く,大部分は特に治療しなくても2~3カ月以内に自然治癒すると思われるが,経過が年余に及ぶ症例も存在する。

    【検査所見】

    血液検査では,好酸球増多がほとんどの症例でみられる。

    血清診断が有用であるが,種の同定はできない。

    生検組織から虫体を剖出できた場合,あるいは病理組織切片で虫体の腸管断面が見えた場合には,頭球鉤の数や形態,あるいは腸管上皮細胞の形態や核数を観察計測することにより,上記4種の顎口虫を鑑別できる。

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