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腰背部痛

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  • ■緊急時の処置

    バイタルサインの異常を伴うような腰背部痛では,直ちにモニターを装着し,気道確保,酸素投与,静脈路を確保し輸液を開始する。

    緊急手術の適応となる腰背部痛を呈する疾患として,急性大動脈解離,腹部大動脈瘤破裂,神経症状を伴うような脊椎・脊髄疾患などがある。

    ■検査および鑑別診断のポイント

    腰背部痛に関して内因性疾患が疑われれば,血液検査,尿検査,超音波検査,画像検査(単純X線,単純/造影CT),心電図検査などを行う。

    骨折の可能性があれば,単純X線写真を撮影する。

    警戒徴候がない場合は特に検査をせず,4~6週の経過観察も可能である。

    警戒徴候がある場合や安静,鎮痛薬投与などの保存的治療に反応しない場合は,血液検査,CT,MRI,骨シンチグラフィーを行う。

    腰背部痛をきたす疾患を表2に示した。致命的な内臓疾患を見逃さないことが大切である3)4)。また,red flag sign(警戒徴候)を呈する整形外科的緊急疾患を鑑別することも重要である1)2)

    01_05_腰背部痛

    ■落とし穴・禁忌事項

    腹部大動脈瘤が,慢性的な腹痛や腰痛の原因になっていることがある。

    膿尿を伴う尿管結石では閉塞性腎盂腎炎を起こしている可能性があり,重症化に注意が必要である。

    脊髄圧迫による神経学的異常が出現してから48時間以内に除圧が施行された場合には,良好な改善が得られる可能性が高い。反対に48時間を超えた場合には,神経学的異常が永続する可能性が高い。

    ■その後の対応

    急性大動脈解離では,血圧管理,疼痛対策の上,A型は原則として手術を行う。臓器障害を合併する場合はB型でも緊急手術を要する。

    腹部大動脈瘤(切迫)破裂では,緊急手術を要する。

    尿管結石では,NSAIDsなどの鎮痛薬を用いた疼痛管理を行う。結石の大きさが5mm以下の場合は自然排出が期待できる。結石の大きさが10mm以上で自然排石が困難な症例には体外衝撃波結石破砕術法(extracorporeal shock wave lithotripsy:ESWL)などを検討する。

    機械的な機序による腰背部痛では,まず安静・疼痛コントロールを行う。神経障害が進行・増悪する場合は待機的手術となる場合がある。

    脊髄損傷や神経症状を伴うような脊椎・脊髄疾患では緊急手術となる可能性があるため,整形外科にコンサルトする。

    腹腔内および腸腰筋膿瘍・脊椎硬膜外膿瘍では,積極的にドレナージを施行する。

    ■文献・参考資料

    【文献】

    1) Jarvik JG, et al:Ann Intern Med. 2002;137(7): 586-97.

    2) 田中裕之, 他:JIM. 2013;23(7):590-2.

    3) Deyo RA, et al:N Engl J Med. 2001;344(5):363-70.

    4) 本多英喜:救急診療指針. 改訂第4版. 日本救急医学会, 監. へるす出版, 2011, p338-41.

    【参考】

    ▶ 日本整形外科学会/日本腰痛学会, 監:腰痛診療ガイドライン2012. 南江堂, 2012.

    【執筆者】 清水千華子(慶應義塾大学病院救急科)

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