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軽症・中等症再生不良性貧血に対するシクロスポリン療法【免疫病態の造血不全を疑うことが重要】

No.4895 (2018年02月17日発行) P.48

石山 謙 (金沢大学血液内科講師)

中尾眞二 (金沢大学血液内科教授)

登録日: 2018-02-14

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軽症または中等症(非重症)の再生不良性貧血(AA)の中で血小板減少が優位な例や,巨核球減少性血小板減少症の多くは,シクロスポリン(CsA)が奏効する自己免疫性の造血不全である。厚生労働省特発性造血障害に関する調査研究班の「再生不良性貧血診療の参照ガイド」では,治療の第一選択としてCsAが推奨されている。しかし,この重症度のAAは,①臨床症状が乏しいこと,②CsAの保険適用がなかったこと,③骨髄の造血巣が穿刺部位によってはしばしば保たれており,赤芽球系にしばしば形態異常がみられるためAAではなく低リスクの骨髄異形成症候群(MDS)と診断されること,等から,多くの症例が無治療で経過観察され,その後,治療抵抗性のAAに移行することが大きな問題となっている。

わが国では2017年8月に,AAに対するCsAの適応が非重症例に拡大された。しかし,非重症AAに対するCsAの有用性を前向きに検討した臨床試験は,国内外ともに皆無である。このため筆者らは,非重症AAに対するCsAの有用性を明らかにするための臨床試験を計画した。本研究の成果により,血球減少の程度の軽いAAであっても,早期に治療を開始することがいかに重要であるか,ということや,非重症AAと疾患定義が重複している低リスクMDSの多くが,実際にはCsAによって治癒する自己免疫性造血不全であること1),などが明らかになることが期待される。

【文献】

1) Wang H, et al:Blood. 2002;100(12):3897-902.

【解説】

石山 謙*1,中尾眞二*2 *1金沢大学血液内科講師 *2同教授

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