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新薬創出等加算見直しに製薬団体大反発―抜本改革案に「落胆」、ドラッグ・ラグ再発の“警告”も【どうなる?診療報酬改定】

登録日: 2017-11-30

最終更新日: 2017-11-30

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中央社会保険医療協議会の薬価専門部会(中村洋部会長)は11月29日、厚生労働省がこのほど示した薬価制度の抜本改革案について、製薬業界団体から意見聴取を行った。新薬創出等加算の見直しには特に強い反対論が相次ぎ、改革案全般への「落胆」を表明する声も上がった。

厚労省の薬価制度抜本改革の骨子案()のうち、「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」(新薬創出等加算)の見直しは大きな柱の1つだ。


骨子案では、「市場実勢価格と薬価の乖離率が全医薬品の平均以下」という従来の品目要件の基準を撤廃。代わりに、希少疾病用医薬品、開発公募品など、医療上の必要性と革新性の高い品目に限定する。企業要件には新薬収載実績などの指標に基づくポイント制を導入し、上位5%未満の企業以外の品目は薬価を一定の割合で引き下げる。

■日薬連、「薬価引下げの提案ばかり」

日本製薬団体連合会(日薬連)の多田正世会長は、抜本改革案について「総じて薬価を引き下げる方向の提案が並んでいる」との認識を示し、新薬創出等加算の見直しには「特許期間中の新薬全てを対象として薬価を維持すべきという我々の主張とかけ離れている」と不満を述べた。

米国研究製薬工業協会(PhRMA)のエイミー・ジャクソン日本代表は「抜本改革案にはショックを受け、落胆した。日本がイノベーション推進施策を放棄する意思表示とみなす」と厳しく批判した。同在日執行委員会のパトリック・ジョンソン委員長は、新薬創出等加算の見直し案に「断固反対」を表明。「革新的新薬の創出に取り組む企業の5%しか薬価を維持できず、小規模企業にとっては差別的な要件だ」と訴えた。

■卸連は安定供給への影響を懸念

欧州製薬団体連合会(EFPIA)のトーステン・ポール副会長は、新薬創出等加算が導入された2010年以降、ドラッグ・ラグが解消したことを強調し、「抜本改革案はイノベーション推進の潮流に逆行しており、ドラッグ・ラグが再発しかねない」と述べた。

日本医薬品卸売業連合会(卸連)の鈴木賢会長は「新薬創出等加算対象品目が大幅に縮小され、長期収載にも厳しい新ルールが導入されるとなれば、医薬品の安定供給に深刻な影響を及ぼす」と懸念を示した。

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