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夏ばて後の腰痛・易疲労感 × 清暑益気湯[漢方スッキリ方程式(3)]

No.4859 (2017年06月10日発行) P.44

溝部広毅 (岩手県立久慈病院総合診療科長/岩手医科大学麻酔科非常勤講師)

登録日: 2017-06-12

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疲労には補中益気湯,夏ばてには清暑益気湯がよく用いられる。補中益気湯は夏ばてにも効果が期待されるが,この患者の場合にはあまり改善がみられなかった。夏の暑さをきっかけに腰痛,易疲労感が出てきたことを考慮し,清暑益気湯へと変方した。清暑益気湯は補中益気湯と似ているが,夏やせ,夏負けに特化した薬である。


補中益気湯は表に挙げた症状が1つか2つあれば使ってみてよいと思われる。補中益気湯は漢方でいう虚証に使用する薬の代表である。虚証は体力があまりなく,やせていて,胃腸もあまり丈夫でないことが多い。ただ,太っていても筋肉に張りがなく,ブヨブヨしている人は「水太り」と言われ虚証である。

消化器症状が強い場合は六君子湯

補中益気湯を使いたくなるような人でも,食欲がない,胃がもたれるなどの消化器の症状が強い場合には六君子湯を用いる。六君子湯はNUD(機能性胃腸症)に用いられることが多いが,この薬を飲んでいると消化器の症状だけでなく,疲れやすさが改善することもある。消化器の症状が良くなっても易疲労感が続く場合には補中益気湯へ変更する。

がんで体力が落ちている人に十全大補湯

がんで体力が落ちている患者には十全大補湯がよく使われる。病気が長引き,皮膚がカサカサして枯燥していることが目標となる。このような患者の場合でも,胃がもたれて食事があまり入らない時には六君子湯を使用する。

まとめ

疲れやすいと訴える患者には,まず補中益気湯を試してみる

夏ばてには清暑益気が有効

がんで体力が落ちて皮膚がカサカサしている人には十全大補湯を用いる

食欲不振など,胃腸の症状が強い人には六君子湯を用いる

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