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造血器腫瘍に対する臍帯血移植(CBT)の現状 【世界中で行われるCBTのうち約1/3がわが国で実施されており,増加傾向は続くものと思われる】

No.4841 (2017年02月04日発行) P.55

田坂大象 (埼玉医科大学総合医療センター輸血・細胞治療部教授)

登録日: 2017-01-31

最終更新日: 2017-01-31

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従来,生着不全,感染症,再発の危惧から,造血細胞移植における臍帯血移植(CBT)の優先順位は低かった。CBTにおける生着不全の誘因として,少ない移植細胞数,多いHLA不一致数,弱い免疫抑制,ドナーHLAに対する抗体の存在などが挙げられる。加えてCBTでは,移植後早期の生着前免疫反応(PIR)と呼ばれる,HLA不一致によるドナーT細胞の活性化,炎症性サイトカインの産生亢進,マクロファージ活性化の結果誘発される血球貪食症候群に伴う生着不全があるが,ミコフェノール酸モフェチルなどの併用による免疫抑制強化は生着率を改善させる。

CBT後の感染症の特徴としてhuman herpesvirus 6(HHV-6)脳炎発症が多く,HHV-6再活性化にPIRなどが関与し,免疫学的機序により脳炎が発症する。ホスカルネットの予防投与の有用性が期待されている。また,フルダラビンと静注ブスルファンによる毒性を軽減した骨髄破壊的移植前治療の開発により非再発死亡率,再発率ともに改善している。最近の報告では,急性白血病に対するCBTの成績はHLA一致非血縁BMドナーに匹敵している。世界のCBTの約1/3がわが国で実施され,2015年のCBT施行数(1266件)は非血縁骨髄移植(1268件)とほぼ同数となった。この増加傾向は続くものと思われる。

【参考】

▶ 内田直之:臨血. 2016;57(5):531-6.

【解説】

田坂大象 埼玉医科大学総合医療センター 輸血・細胞治療部教授

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