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多発性骨髄腫に対するHDAC阻害薬の作用 【パノビノスタットをボルテゾミブ+デキサメタゾンに追加投与することで,無増悪期間を有意に延長】

No.4809 (2016年06月25日発行) P.49

岡部聖一 (東京医科大学血液内科講師)

登録日: 2016-06-25

最終更新日: 2016-10-29

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多発性骨髄腫は造血器腫瘍のひとつで,腫瘍性の形質細胞により発症する。高齢者に多く,頻度は人口10万人当たり約3人であるが,近年増加傾向にある。形質細胞は免疫グロブリンの産生を行っているが,腫瘍化した形質細胞は,モノクローナルな異常免疫グロブリン(M蛋白)を産生し,様々な症状(病的骨折,貧血,腎障害,高カルシウム血症,易感染性)を起こす。
以前は,MP(メルファラン+プレドニゾロン)療法が主流であったが,2000年以降,新規薬剤であるサリドマイド,レナリドミド,ボルテゾミブが導入され,予後の改善がみられた。しかし,再発や治療に抵抗性を示す症例も数多く存在する。ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)はエピジェネティックな遺伝子の制御を行っており,HDAC阻害薬はヒストンのアセチル化を介してクロマチンの構造を弛緩させ,遺伝子の発現を亢進させる薬剤である。
近年,HDAC阻害薬のひとつである,LBH589(パノビノスタット)の多発性骨髄腫への効果が報告(文献1)された。ボルテゾミブ,デキサメタゾンにパノビノスタットを追加投与することにより,再発難治性の多発性骨髄腫症例の無増悪期間を有意に延長させることが示された。日本でも2015年7月に承認され,日常診療で使用可能となっている。今後のさらなる予後の改善に期待したい。

【文献】


1) San-Miguel JF, et al:Lancet Oncol. 2014;15(11):1195-206.

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