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ヘパリン起因性血小板減少症のスクリーニングと確定診断および治療方針 【機能的測定法によって鑑別を行う。治療は,ヘパリンを直ちに中止し,抗トロンビン薬を開始】

No.4828 (2016年11月05日発行) P.55

家子正裕 (北海道医療大学歯学部内科学分野教授)

宮田茂樹 (国立循環器病研究センター輸血管理室医長)

登録日: 2016-11-02

最終更新日: 2016-10-31

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  • 突如,血小板減少をきたした透析患者の検査所見が,播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation:DIC)を思わせるような結果でした。ヘパリンの投与は確認できていますので,ヘパリン起因性血小板減少症(heparin-induced thrombocytopenia:HIT)も強く疑うのですが,HITのスクリーニング検査法と確定診断および対処法について,国立循環器病研究センター・宮田茂樹先生のご回答をお願いします。

    【質問者】

    家子正裕 北海道医療大学歯学部内科学分野教授


    【回答】

    HITは,ヘパリン投与(未分画,低分子量いずれでも)を契機とし,血小板活性化能を持つ抗血小板第4因子(PF4)/ヘパリン抗体(HIT抗体)が誘導されることで,血小板・単球・血管内皮の活性化,トロンビン産生が促され,血管内血小板凝集による血小板減少とともに,血栓塞栓症を高率(~50%)に誘発します。HITは以下の免疫学的特異性を示します1)

    (1)ヘパリン初回投与患者であっても,二次免疫応答のようにHIT IgG抗体がヘパリン投与開始後4日目から産生されうる2)
    (2)ヘパリン再投与の際のanamnestic responseを欠く3)
    (3)通常の二次免疫応答と異なり,比較的早く(平均約50~85日で)消失する4)

    臨床情報に基づいたスコアリングによって,HITらしさを判定する臨床診断法の中で上記免疫学的特異性をうまく反映できているのが,4Tsスコアリングシステムです5)

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