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子どもは災害弱者のままでよいのか?  【医療・保健支援を災害急性期から行う小児災害医療コーディネーターの設置が望まれる】

No.4781 (2015年12月12日発行) P.56

鶴和美穂 (国立病院機構災害医療センター)

小井土雄一 (国立病院機構災害医療センター 臨床研究部長)

登録日: 2015-12-19

最終更新日: 2016-10-26

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災害弱者には高齢者,障害者,外国人,妊産婦などが含まれ,もちろん我々の未来を担う子どもも含まれている。政策の場では「災害時要配慮者」「災害時要援護者」という用語を用いて災害弱者に対する対応策が検討されているが,まだ十分な体制が整備されていないのが現状である。
「少子化社会対策大綱」では,「災害時の乳幼児等の支援」に対して「地方自治体において,乳幼児,妊産婦等の要配慮者に十分配慮した防災知識の普及,訓練の実施,物資の備蓄等を行うとともに,指定避難所における施設・設備の整備に努め,災害から子供を守るための関係機関の連携の強化を図ることを促進する」と記載されており,災害時の子どもに対する支援対策が必要とされている。
子どもに関しては現在,災害時の小児医療ネットワークの形成,災害時に必要となる物資(特殊ミルクなどを含む)の供給体制,DMATや災害医療コーディネーター,行政との連携体制整備などの課題が挙げられている。災害時,子どもには医療支援(救急医療・医療搬送,特殊疾患対応,食物アレルギーなどのアレルギー性疾患対応など)のみならず,保健支援(母子保健,ワクチン,心のケアなど)も欠かすことができない。これらの支援を災害急性期からシームレスに行える体制が求められており,その解決策のひとつとして,行政やDMAT,他機関と連携しながら支援調整を行う小児災害医療コーディネーターの設置が望まれる。

【参考】

▼ 日本小児科学会企画戦略委員会災害対策ワーキンググループ:日小児会誌. 2014;118(12):1767-822.

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