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進行がん患者の予後予測 【適切な指標の使い分けを】

No.4779 (2015年11月28日発行) P.54

三浦智史 (国立がん研究センター東病院緩和医療科)

登録日: 2015-11-28

最終更新日: 2016-10-26

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進行がん患者において予後予測は重要な意義を有する。その理由として,(1)患者や家族はその後の治療方法や療養,なすべきことの優先順位を決定できる,(2)医療者は治療選択や提供するケアについて検討できる,などが挙げられる。予後予測の指標には,palliative performance scale(PPS)やpalliative prognostic index(PPI),palliative prognostic score(PaP),delirium PaP score(D-PaP),prognosis in palliative care study(PiPS)などがある。PiPSは血液検査の有無でPiPS-A(血液検査なし),PiPS-B(同あり)にわけられる。このうち日本ではPPIが最も広く使用されている。PPS,経口摂取量,浮腫・安静時呼吸困難・せん妄の有無からスコアを算出し,予後が3週未満や6週以上であることを予測する(文献1)。
わが国で2012年より前述の予後予測指標の妥当性の検証を目的に,J-ProVal studyが行われた(文献2)。在宅緩和ケア,緩和ケア病棟,緩和ケアチームの3種の緩和ケアサービス介入時の患者を対象とした観察研究で,国内の全58施設,2426名がエントリーされた。結果は,実施可能性はPPIとPiPS-Aで高く,検討されたすべての指標で予後予測能は良好であった。本研究から推奨される予後予測指標は,(1)“最も簡便かつ使用しやすい”指標はPPI,(2)“血液検査なし”+“評価項目が増えてよい”ならばPiPS-A,(3)“血液検査あり”+“評価項目が増える”+“できるだけ正確な予測が必要”ならばPaP,D-PaP,PiPS-Bであった。

【文献】


1) Morita T, et al:Support Care Cancer. 1999;7(3):128-33.
2) Baba M, et al:Eur J Cancer. 2015;51(12):1618-29.

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