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無症候性骨髄腫の経過観察中の注意点

No.4706 (2014年07月05日発行) P.62

村上博和 (群馬大学大学院保健学研究科生体情報検査科学講座教授)

登録日: 2014-07-05

最終更新日: 2016-10-18

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【Q】

無症候性骨髄腫の患者さんに対して無治療で経過観察をしている途中で腰椎圧迫骨折を発症し,著しくQOLが低下してしまう場合があります。定期的なX線検査ではなかなか予測することができません。無症候性骨髄腫の経過観察中の対応について,骨病変の早期発見のための方策や,高リスク症例に対する新規治療薬およびビスホスホネート製剤の投与についての最新の考え方を,群馬大学大学院・村上博和先生に。
【質問者】
神田善伸:自治医科大学附属さいたま医療センター 血液科教授

【A】

無症候性骨髄腫患者の経過観察中には,ヘモグロビン,M蛋白量,腎機能,血清カルシウムなどの血液検査はもちろん,骨病変の定期的検査が必要です。ご質問の通り,骨病変の早期発見には単純骨X線検査のみでは不十分なことが多々あります。
まず,診断時に必ず脊椎MRIを撮影しておきましょう。脊椎,特に下部胸椎から腰椎にかけては最も荷重がかかるため,圧迫骨折を起こしやすい部位です。初回MRIで骨粗鬆症などの骨脆弱性が疑われる場合,少なくともMRIを半年に1回は撮影しておいたほうがよいと考えます。このほかフリー軽鎖も病勢の進行を早期に把握できるとされています。私は来院時に必ず測定しています。
2013年のThe New England Journal of Medicine誌に,高リスク群患者に対してレナリドミド+デキサメタゾン療法を行い,無進行期間のみならず生存期間の延長も認められたとの報告がなされました。しかし,この試験の対象例はきわめて高リスクであり,すべての無症候性骨髄腫患者に当てはまるとは言いがたいものです。免疫調節薬(immunomodulatory drugs:IMiDs)やプロテアソーム阻害薬などの新規薬剤による早期治療は,臨床試験の範疇で行うべきと考えます。
無症候性骨髄腫におけるビスホスホネート製剤の効果を検証した試験は2つあります。ゾレドロン酸4mg/月の1年間投与群と非投与群,およびパミドロネート60~90mg/月の1年間投与群と非投与群のランダム化第3相比較試験です。どちらも投与群で骨関連事象の発現が有意に減少することが示されています。しかし,無進行期間や生存期間の延長効果はありませんでした。適応を十分検討して投与すべきと考えます。

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