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骨髄異形成症候群に対するアザシチジンの使用法と合併症への留意

No.4771 (2015年10月03日発行) P.58

城 達郎 (日本赤十字社長崎原爆病院血液内科部長)

登録日: 2015-10-03

最終更新日: 2016-10-25

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【Q】

骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndromes:MDS)に対するアザシチジン(aza-citidine:AZA,ビダーザR)の適応や合併症対策など,有効な使用方法について,日本赤十字社長崎原爆病院・城 達郎先生のご教示をお願いします。
【質問者】
小松弘和:名古屋市立大学病院化学療法部准教授

【A】

わが国においてAZAはFAB分類のすべてのMDSに認可された薬剤であり,芽球20~30%の急性骨髄性白血病(FAB分類のRAEB-t)や慢性骨髄単球性白血病も適応に含まれます。
AZAは白血病への移行率の高い高リスクMDSに対しては生存期間の延長が証明され,造血幹細胞移植の施行が困難な高リスクMDSに対する第一選択薬として位置づけられています。また,移植前後の維持療法や移植後再発症例に対するサルベージ療法としての有用性も期待されています。
一方,低リスクMDSにおいては,lenalidomide(5q染色体欠失の場合),エリスロポエチン製剤(500mU/mL以下の場合),免疫抑制薬が適応とならない場合,またはそれら薬剤が無効の際の血球減少症が認められる場合にAZAの使用が考慮されます。低リスクMDSではAZAの生存予後に対する延長効果は明らかではありませんが,血液学的改善やQOL改善をもたらしえます。
AZA治療に伴う合併症で代表的なのは骨髄抑制とその随伴症状です。特に初期サイクルに多く認められ,この時期をうまくマネジメントして乗り切れば,治療の継続性が格段に向上します。
中でも最も注意を要するのが,好中球減少時の感染症リスクです。急性骨髄性白血病やそのほかの血液疾患の化学療法時と同じく,好中球減少時に発熱すると急速に重症化して死に至る危険性があります。また,MDS患者の中には好中球機能異常を有する場合もあることを考慮すべきです。したがって,感染予防と対策は非常に重要です。発熱性好中球減少症や敗血症などの重症感染症が認められた際には,迅速に十分量の抗菌薬を投与することが重要と考えられます。
AZAはメチル化を解除することにより薬効を示す性質上,血液学的改善効果を認めるまでに数サイクルの投与を必要とするとされています。また,特に高リスクMDSに対しては生存期間の延長も期待されますので,病勢の進行が認められない限りは治療を継続することが重要です。
AZA治療継続のための注意すべき事項の1つに骨髄状態の評価があります。AZA治療開始後,多くの場合,骨髄は治療開始前の過形成状態から細胞数が減少します。AZAはRNAに取り込まれることによる蛋白合成阻害からの殺細胞作用も有しています。したがって,骨髄の形成状態に対して相対的に高用量のAZAを投与し続けた場合,骨髄低形成をきたし,結果的に治療を継続できなくなる危険性があります。
AZA治療前に末梢血細胞数,骨髄の状態,WT1 mRNA値などの検査値を用いて総合的に判断し,AZAの投与量を個別に調整する(具体的には,28日サイクルで治療を継続することができる投与量にAZAを減量する)視点も重要ではないかと考えています。

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