経口鉄剤はいずれを用いてもよい。クエン酸第二鉄は消化器系の副作用が少ないとされるが,薬価が若干高い。
一手目 :フェロミアⓇ50mg錠(クエン酸第一鉄ナトリウム)1回2錠1日1回(夕食後),またはフェロ・グラデュメットⓇ105mg錠(乾燥硫酸鉄)1回1錠1日1回(夕食後),またはフェルムⓇ100mgカプセル(フマル酸第一鉄)1回1カプセル1日1回(夕食後),またはリオナⓇ250mg錠(クエン酸第二鉄水和物)1回2錠1日1回(夕食後)
ヘモグロビンが8g/dL未満で頻回の来院が困難な患者では,最初から二手目とする。
一手目 :フェジンⓇ注(含糖酸化鉄)1回40~120mg 1日1回(静注)週に1~3回
必要な総鉄投与量に達するまで繰り返す。
二手目 :〈処方変更〉フェインジェクトⓇ注(カルボキシマルトース第二鉄)1回500mg 1日1回(5分以上かけて緩徐に静注,または生理食塩水で稀釈し6分以上かけて点滴静注)1週間隔で最大3回投与,またはモノヴァーⓇ注(デルイソマルトース第二鉄)1回1000mg 1日1回(生理食塩水で稀釈し15分以上かけて点滴静注)単回投与または翌週に500mg追加投与
鉄剤を投与しても貧血が改善しない場合は,鉄欠乏以外の原因がないか専門家にコンサルトする。
鉄剤の投与に際しては,生じうる副作用(経口の場合は消化器症状や黒色便,静注の場合はアレルギー反応など)を説明しておく。
貧血が改善しても,貯蔵鉄が十分に回復するまでは鉄剤の内服を継続する。鉄剤を中止する際には,食事指導を行ったり,鉄を含有するサプリメントの利用を勧めたりして,再発を予防する。
【参考資料】
▶ 日本鉄バイオサイエンス学会, 編:鉄剤の適正使用による貧血治療指針. 改訂第3版. 2015.
https://jbis.bio/wp-content/uploads/pdf/zyouzaiv3.pdf
川端 浩(京都医療センター血液内科・稀少血液疾患科診療科長/診療部長)