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【識者の眼】「『徹底討論!! かかりつけ医機能』に登壇して思うこと」草場鉄周

No.5198 (2023年12月09日発行) P.56

草場鉄周 (日本プライマリ・ケア連合学会理事長、医療法人北海道家庭医療学センター理事長)

登録日: 2023-11-29

最終更新日: 2023-11-29

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11月18日に日比谷図書文化館日比谷コンベンションホールで開催された「COML医療フォーラム 徹底討論!! かかりつけ医機能」にシンポジストとして登壇する機会を頂いた。司会がささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏、他のシンポジストが日本医師会名誉会長の横倉義武氏と日本福祉大学名誉教授の二木立氏という華やかなメンバーになった。

一方、私はCOMLの理事で主催者側という立場もあるので、はたして「徹底討論」してよいものか、悩ましさもあったが、結果としてはフロアにお越しの多彩な関係者の積極的な発言もあり、今後につながる議論ができたと実感している。

私自身は本稿でも何度か紹介しているように「『かかりつけ総合医制度』を日本で実現できれば」というスタンスを取ってきたが、他の皆さんは現在の医療体制から足らざる部分を少しずつ強化したらよいというスタンスであった。細かな部分ではもちろん見解の相違があったわけだが、壇上で対話を重ねていく中で、当初考えていた以上に意見の一致を見る点が多いことが明らかになった。そして、この春に制定された医療法の改正に伴う「かかりつけ医機能報告制度」を活用していくことが重要であり、そのためにもかかりつけ医機能を向上させるための研修や生涯教育の強化が必要であるという点では4人の見解がピタリと一致した点も印象的であった。

私は総合診療・家庭医療を専門的に学び、地域の現場で仲間と一緒に実践し続けている立場から、そうした総合診療医や家庭医の能力を地域で発揮させ、現場の実地医家の皆さんといかに連携させるかという発想から〈理想的な医療提供体制〉を描き発言してきた。全国各地に実際そうしたモデルが存在し、地域医療に貢献しているのは事実だが、まだまだ少数である。そして、このモデルを来年、再来年から全国一斉に実現させると受け止められると、様々なご批判を頂くことになる。その意味でも、時間軸をもっと意識した説明が重要だと今回のシンポジウムから学んだ。

こうした議論の一方で、財務省による診療所の利益率の高さへの批判と診療報酬の引き下げ要求という厳しい議論が展開されている。これに対して、医療界は賃金上昇圧力や物価高騰による診療報酬引き上げを反論として提案しているわけだが、本来はここにかかりつけ医機能を地域で十分発揮させるためのシステム改革を対案として提示できれば、「医療界も自己改革に本気だ」と社会全体の理解を得られるのでは、と歯がゆさを感じる。医療界は自己主張だけでなく、もっと社会との〈徹底討論〉をすべきではないだろうか。

草場鉄周(日本プライマリ・ケア連合学会理事長、医療法人北海道家庭医療学センター理事長)[総合診療/家庭医療]

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