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地域包括ケアシステムと地域医療構想との関係をどう考えるか? [深層を読む・真相を解く(47)]

No.4768 (2015年09月12日発行) P.15

二木 立 (日本福祉大学学長)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-02-13

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  • 地域包括ケアシステムは、2003年に初めて提唱された時、「介護サービスを中核」とする介護保険制度改革と位置づけられ、医療は診療所・在宅医療に限定されました(高齢者介護研究会報告書「2015年の高齢者介護」)。そのため医療関係者の多くに、それは医療とは無関係との誤解が生まれました。

    しかし、その後地域包括ケアシステムの概念・範囲は徐々に拡大され、2012年以降は病院医療を含むことが明確になりました。その結果、最近では、地域包括ケアシステムの研究者や実践家からは、それが今後の医療・福祉改革の「中核」・「上位概念」であり、「地域医療構想」や急性期医療は下位概念、「脇役」との主張がなされ始めました。

    例えば、筒井孝子氏(兵庫県立大学教授)は「医療・介護サービスの適切な利用を支えるための提供システムのデザインが地域包括ケアシステムであり、地域医療構想は、この地域包括ケアシステムのうちの医療サービス提供体制に着目し、その改革の方策を示すとともに、PDCAサイクルの工程による計画を記したもの」と説明しています(『病院』2015年5月号:326-331頁)。櫃本真聿氏(愛媛大学病院総合診療サポートセンター長)は「急性期病院は今後、医療の中で“脇役”と位置付けるべき」と主張しています(『日経メディカル』2015年5月号:71頁)。
    しかし、これらの主張は地域包括ケアシステムの過大評価と地域医療構想の過小評価に基づく誤解です。本稿では、両者が法・行政的にも、実態的にも、同格・一体、相補的であることを示します。

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