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【一週一話】日常診療におけるセクシュアル・ マイノリティ(LGBT)への配慮

No.4767 (2015年09月05日発行) P.51

井戸田 一朗 (しらかば診療所院長)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-02-13

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  • 男性患者A「先生,前から喉の違和感があるのですが,喉の性感染症もあるって聞いて」

    筆者「最後のエッチはいつ頃?相手は女性,男性,両方?」

    A「男ですよ,最後は2週間前です」

    筆者「一応,喉のクラミジア,淋菌の検査しておこうか。最後にHIV検査したのはいつ?」

    A「2年前,いや3年前かも?」

    筆者「今梅毒も流行ってるから,一緒に検査しておこうよ。健康保険でできるからね」

    A「トホホ,ちょっと怖いけどわかりました……」

    当院でよくある診察風景である。

    渋谷区で2015年3月に「渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」(通称「同性パートナーシップ条例」)が可決され,「LG BT」という言葉をメディアで目にするようになり,また6月に米国の連邦最高裁がすべての州における同性婚を認めたのも記憶に新しい。LGBTとは何か?「レズビアン,ゲイ,バイセクシュアル,トランスジェンダー」のことである。当院はLGBTを含む,異性愛以外のセクシュアリティを持つ人(セクシュアル・マイノリティ)を主なターゲットとする診療所として2007年に都内に開院した。

    セクシュアル・マイノリティはどのくらい存在するのだろうか。たとえば,2009年の調査で全国の男性1659人からの回答のうち,性交渉の相手が同性のみ,もしくは両性であった割合は2%であった1)。地域差は存在するであろうが,先生方の目の前の男性患者の50人に1人は,ゲイもしくはバイセクシュアルかもしれない。

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