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■NEWS 日漢協が「漢方の将来ビジョン」実現へロードマップ発表

登録日: 2021-05-25

最終更新日: 2021-05-25

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漢方製剤・生薬製剤のメーカーなど62社で組織する日本漢方生薬製剤協会(会長:加藤照和ツムラ社長)は5月18日、オンラインで記者会見を開き、2018年に策定した「漢方の将来ビジョン2040」実現に向けた「ロードマップ」を発表した。

ロードマップは、「ビジョン2040」が掲げた8つのビジョンに沿って、10年後、20年後のあるべき姿を描き、それらを実現するために対処すべき課題と具体的な取り組みの工程表を定めたもの。

「さらなるエビデンス集積と有用性の確立」(ビジョン1)については、2030年度までに医療用漢方製剤汎用30処方の掲載ガイドライン数拡大(目標135件)と掲載ガイドラインの推奨レベルアップ(目標40件)、2040年度までに医療用漢方製剤148処方のガイドライン掲載、80ガイドラインへの推奨掲載を実現すると記載。

「原料生薬の継続的安定確保と国産生薬生産量の拡大」(ビジョン2)については、原料生薬の安定確保のため日中交流を進めるとともに、国産生薬の生産量を2030年度までに約1.5倍(2015年度比)、2040年度までに約3倍(同)に拡大するとしている。

■加藤会長、中国の政策に警戒感「生薬調達に影響出る可能性も」

会見の中で加藤会長は、漢方製剤等の安定供給のためには「原料生薬の調達力」を高める必要があると強調。「漢方製剤等の原料となる生薬は約8割を中国からの輸入に頼っているが、ビジョン実現に向けた今後20年間は、中国の政策などによって生薬調達に影響が出る可能性も危惧されている。原料生薬の調達力をしっかり高めていかないと、品質の良い生薬を中国企業に取り負ける可能性が出てくる」と、中国企業との競争がより厳しさを増していくとの見通しを示した。

加藤会長は、生薬価格上昇への懸念も示し、「医療用漢方製剤・生薬製剤の薬価が下がり続ける中、生薬価格が上がっていくと、品質の良い生薬の安定調達が困難になる可能性も否定できない」として、薬価改定論議への対応にも力を入れる姿勢を示した。

「漢方の将来ビジョン2040」が掲げる8つのビジョン
①さらなるエビデンス集積と有用性の確立
②原料生薬の継続的安定確保と国産生薬生産量の拡大
③原料生薬から最終製剤までの品質管理の高度化と製品品質保証の体制強化および医療用漢方製剤等の安定供給
④ガイドライン策定に向けた医療用漢方製剤の新剤形開発・効能拡大に関する研究の推進
⑤一般用漢方製剤および生薬製剤の開発推進と情報提供体制の強化
⑥コンプライアンス遵守の体制強化と信頼性向上
⑦自然環境の保全・生薬資源の保護など地球環境や生物多様性へ配慮した事業活動の推進と漢方製剤等の国際展開の推進
⑧産官学連携強化とアウトリーチ活動の充実

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